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よくある質問
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よくある質問

林歯科医院について

他院に通院中ですが、治療方針の相談はできますか?

可能です。専属のTC(トリートメントコーディネーター)が相談に応じます。

受診しなくても歯ブラシなどのデンタルグッズは購入できますか?

購入できます。受付の隣に歯ブラシコーナー(ブティック)がございますので、お気軽にご来院下さい。

子供連れでも受診できますか?

できます。ご希望であれば託児も行います。

歯科医師の指定はできますか?

可能です。ご希望があればお気軽にお問い合わせ下さい。

車いすでも診療を受けることができますか?

可能です。当院はユニバーサルトイレや段差のない通路など、バリアフリーに対応した作りとなっております。

口腔外科

歯をぶつけてしまった時の応急処置・治療の方法は

歯の外傷の予後は、直後の対応によって左右される部分があります。
今は関係ないと思っていらしても頭の片隅に覚えているかどうかで治り方が違ってくると思います。

1)怪我をしたら
2)その場での処置
3)電話の前に
4)当日の処置
5)翌日のチェック
6)一週間後
7)一ヶ月後

1)怪我をしたら

ここでは、歯の外傷についてお話していきます。怪我をしたらまず、落ち着いて下さい。それから怪我の状態を確認して下さい
どんな落ち着いた性格の方でも、怪我をして出血をすれば驚きますし、自分の事ではなく周りの人の事であっても動転するのが当たり前です。けれどもまず深呼吸をして、落ち着きましょう。あわてても怪我は治りません。冷静になって怪我の状態を確認し、どう対処するのかを決めましょう。
交通事故や過失による事故などでは、後々のために怪我をするに到った状況をきちんと把握しておく必要もあります。

1.外傷の程度の確認

歯の怪我の場合、頭や顔にも怪我をしていることがあります。
怪我の程度によっては、救急車の手配をしなければなりません。
自分達で交通機関を確保して移動できる状況かどうか見極めましょう。

2.警察への連絡

もし、交通事故によって怪我をした場合には、警察への届出を忘れないようにして下さい。怪我をしたことで動揺して忘れてしまうこともあるようです。気をつけましょう。

3.医療機関への連絡

休診日などの事故の場合には、救急車を頼むような状態でないとすれば、自分で対応してもらえる医療機関があるかどうか探さなければなりません。

何科にかかったらよいか分からないような状態であれば、診療科目が多く入院設備の有るような総合病院に相談してみましょう。

4.歯科医院への連絡

身体の他の部分に怪我がなく、他科への受診の必要がない場合は、歯科を受診します。かかりつけの歯科があればまずそこに連絡しましょう。

その医院で対処できないような状態であれば専門医を紹介してもらえるはずです。

特にかかりつけの歯科がない場合は、
 お子さんなら 小児歯科、
 大人の方なら 口腔外科の標榜をしているところ
を受診されるとよろしいでしょう 。

このような手配と平行して、その場での処置を行います。

2)その場での処置

怪我をした直後にどんな処置をしたかで、その後の治り方に違いがでてきます。

ここからは、口の中の怪我についてお話していきます。
口の中の怪我の種類別に対応を整理しましょう。

・骨折

無理に動かさない。
骨が折れていると思われる場合は無理に動かさないように注意して、口腔外科か整形外科を受診して下さい。

・歯の動揺

さわらない。
歯が動いている時にはそれ以上さわらないようにしましょう。

・歯の脱落

乾燥させない。

きれいな状態であればもう一度もとの位置に戻すこともできます。
よごれていても自分では洗わずそのまま乾燥させないように注意して歯科に持参します。

もしあれば整理食塩水、なければイオン飲料水(cf.ポカリスェット)や牛乳にいれて持って行きます。水道水はお勧めできません。

・歯の破折

さわらない。
折れた破片があればもっていきましょう。

保存方法は、上の「脱落した歯」と同様に

・軟組織の損傷

止血する。

かるくうがいをして、ガーゼなどで止血して傷口の状態を確認します。中々止血しない時にはガーゼなどでしっかり傷口をおさえておきます。

ポイントは、「汚さない、無理に動かさない、乾燥させない」です。

3)電話の前に

一刻も早くとは思うでしょうが電話の前に「メモ」をとりましょう。

歯科医院に出かける前に電話をして外傷の対応をしてもらえるかどうか確認します。場合によっては口腔外科などの専門医を紹介されるかもしれません。

電話の前にメモをとって、効率的に質問に答えましょう。
怪我の状態や、怪我をした人の年令によっては、口腔外科や小児歯科を紹介されるかもしれません。

下記のポイントに沿ってメモを取ります

怪我をした人:年令・性別

怪我をした状況:いつ・どこで・何をしていて・どのように

怪我の状態:

 口の外の怪我の状態:顔や頭などの傷の有無
 口の中の怪我の状態:舌や頬の内側、唇などの怪我の有無
 歯の状態:歯の動揺・脱落・破折などの状態

以上の様なことを簡単にメモしておきましょう。

電話の時、受付での説明、歯科医師に問診を受ける時などに
きっと役に立つはずです。

4)当日の処置

怪我をして歯科を受診すると、どんな処置をうけるのでしょう?当日は消毒、整復、固定などを行います。

1.問診

怪我をするに到った状況
現在の症状などについて

お話をうかがいます。

また、もともとの体の状態などで心配なことがあればきちんと伝えておきましょう。

2.検査

口の外、口の内側の怪我の状態の確認。
歯の状態の確認。
レントゲンの撮影などの検査を行います。

その医院で対応できないような状態であれば口腔外科などの紹介を受けることになります。

3.消毒 縫合

口の内外の軟組織の損傷については消毒を行います。
軟組織の傷の状態によっては、縫合が必要な場合も有ります。

口の中の傷については歯科医院で行いますが、口の外の傷については、外科、もしくは形成外科を受診することになるかもしれません。

4.破折した歯の処置

歯の破折があればその処置を行います。

破折の程度によって、
 しみないように薬品を塗布する、
 欠けたところに合成樹脂を詰める、
 神経をとる、
などの処置になります。

必要に応じて、麻酔を施します。

また、破折の程度が著しく保存が不可能な場合は抜歯になることもあります。

5.抜けそうな歯の処置

まず正しい位置に歯を戻し(=整復)、
動かないように固定します。

一度抜けてしまった歯でも保存の状態によっては、もとの位置に戻すことが可能です。完全に抜けてしまった歯はもとに戻す前に神経をとってしまい、内部を薬剤で閉鎖することもあります。

6.骨折の処置

顎の骨をもとの位置に戻して、骨がつくまでの間、固定することになります。

骨折している場合の治療は口腔外科の専門医の元で受けられるとよろしいでしょう

7.投薬

感染の防止に抗生物質などの投薬を受けることがあります。歯ブラシのできないような時は、うがい薬などもでます。

処置が終わったら、怪我の程度によって次回の予約をとります。

5)翌日のチェック

怪我をした翌日、消毒のために受診をすることがあります。

怪我の状態を確認し、必要に応じて処置や投薬を受けます。ここでは、一般の歯科医院で治療を受け、当日帰宅をした場合にしぼってお話します。

・痛みの状態

強い痛みがないかどうか、鎮痛剤を使用したかどうかなどについて確認します。

痛みが余り強い場合は何が原因かを確認し、再処置を行います。
通常は、骨折以外の場合、翌日の来院時には、痛みはだいぶおさまっています。

・全身状態

睡眠、栄養は通常通りとれたかどうか、発熱などの全身症状の有無について確認します。状態によっては他科の受診をお勧めします。

・軟組織の傷の状態

感染の可能性がないかどうか、確認をします。

感染の可能性が有る場合、抗生物質の投与などについて再考します。縫合をした場合はその状態も確認します。

・歯の状態

抜けかけた歯などを固定した場合は、固定の状態をチェックします。
私どもでは翌日の状態がよければ、次は1週間後に再来していただいています。

6)一週間後

怪我をして一週間後の傷の状態を確認します

・痛みの状態

この時期に痛みが続いている場合、傷口からの感染がないか、初診時に歯の破折や骨折を見のがしていないかを再確認する必要が有ります。通常は、この時期には日常生活に差し障るような痛みは見られません。

・全身状態

何か心配な症状がないかどうか確認します。

・軟組織の傷の状態

一週間で軟組織の傷口はだいたいふさがっています。傷口を縫合した場合はこの回に抜糸します。傷口の治り方が遅い場合、感染を起こしていないかどうか確認します。

・歯の状態

抜けかけた歯などを固定した場合は、固定の状態をチェックします。固定装置の脱落・破損などがあれば修理します。

林歯科医院では、小さな外傷の場合はこの回の消毒で終了し、定期検診にまわっていただきます。ぶつけたところの歯の破損などの修復が終わっていない場合は引き続き治療を行います。

固定をした場合、打撲の程度が強い場合には、一ケ月後にもう一度いらしていただきます。

7)一ヶ月後

怪我をして一ケ月後の傷の状態を確認します

・痛みの状態

この時期に痛みが続いていることはまずありません。

・全身状態

何か心配な症状がないかどうか確認します。

・軟組織の傷の状態

もし、傷が治っていないようなら、歯の破折したかけらなどが残っていないか、傷口からの感染がないかを調べます。

・歯の状態

固定をした場合は、そろそろ固定の除去を考えます。大体、4週間から6週間で固定をはずします。この時期になっても歯が全くついていないようなら、抜歯を考えなければならないかもしれません。

ぶつけた時はなんともなかった歯の色が、この時期になって青黒く変色してくることがあります。このような場合、いわゆる神経が壊死している可能性があります。

多くの場合は神経の処置を行うことになります。

ぶつけた当初、神経の麻痺が起き、電気診などで反応が見られない場合も、神経が生きていればこの時期には回復してきます。再検査して、必要な処置を受けます。

・永久歯への影響

乳歯の外傷の場合、これから生えてくる永久歯への影響は心配なことです。

大人の歯の表面に傷がついたり、歯の生える方向がまがってしまったりすることも無いとはいえません。永久歯への生えかわりが終わるまで、定期的に検診を受けることをお勧めします。

生えかわりの時期がきても永久歯が生えてこないような場合はレントゲンをとって確かめることになると思います。

外傷の予後に不安が有る時には継続して見てもらうようにしましょう

親知らずが急に痛くなったら

親不知の事で、お困りの方はいらっしゃいませんか?

私達は、親不知について下のような御質問を良く受けます。
簡単ですが、御説明しましょう。

1)親不知って何?
2)親不知は抜かないとダメ?
3)どうして痛くなるの
4)どんな時に痛くなるの
5)痛くなったらどうするの?
6)抜くのが大変って本当?
7)抜いた後腫れるの?

1)親不知って何?

親不知(おやしらず)が痛くて、とか親不知を抜いたけど、大変だった、と言った話を耳にする事があると思います。

人間の永久歯はもともとは32本です。ところが最近は28本しか生えてこない人が増えています。この無くなりつつある歯が親不知(おやしらず)とか、智歯(ちし)と呼ばれる第三大臼歯です 。

人間の顎は、次第に小さくなっていると言われ、歯の本数も少なくなってきている様です。

しっかりした顎をした人なら、きちんと生えてきて噛み合わせに参加したはずの第三大臼歯も、顎の小さい人では、きちんとした位置に生えてこなかったり、埋まったままになってしまったりすることがあります。

このようなきちんと生えてくることができなかった親不知が、のちのちトラブルの原因となることがあります。
さて、親不知を抜くように言われたという話は、よく聞くことです。

では、どんな親不知も抜かないといけないのでしょうか?

2)親不知は抜かないとダメ?

知り合いが親不知を抜いたらしい。自分も抜かなければいけないのだろうか?

特に困ったことはないのだけれども・・・

親不知は必ず抜かなければならないのでしょうか?

そうとは限りません。

しっかりした顎をした人の場合、親不知もきちんと噛み合わせに参加しています。そのような歯を抜く必要はありません。また、特に何かの障害がない限り、今すぐ抜く必要はありません。

もしかしたら、歯が抜けてしまった時に、ブリッジや義歯を入れる時に必要な歯になるかもしれません。

では、どのような時に抜かなければならないのでしょうか?

きちんと生えてくることができなくて、痛みの原因になっている時。
虫歯が出来たのに、生えてきた位置のために虫歯の治療ができないような時。
生えてきたために、それまでの噛み合わせに異常を来たしたり、顎の痛みを生じたりした場合。

このような場合に歯科を受診されると、親不知の抜歯を勧められると思います。

つまり、親不知の存在によって何らかのトラブルが生じ、抜くことによってそれが解決できる場合で、抜歯した方が保存した時より利益があると思われる場合に、抜歯が行われます。

3)どうして痛くなるの?

どんな時に親不知が痛くなるのかお話しましょう。
きちんと生えてきて噛み合わせに参加している親不知は、めったに痛くなったりしません。

1.智歯周囲炎

親不知に特徴的な痛みはこれです。
最後に生えてくる親不知のために場所が残っていない時、半分顔を出したまま出てこられなくなったり、最初から埋まったままになってしまったりすることがあります。

特に、半分顔を出したまま停まってしまうと、歯と周りの歯茎の間は、汚れのたまりやすい場所になってしまいます。歯槽膿漏によってできる「ポケット」が初めからあるようなものです。この部分の炎症を「智歯周囲炎」といいます。

よく、親不知で頬が腫れた、口が開けられなくなったと言う時は、この「智歯周囲炎」が原因であることが多い様です。
下の親不知は、横向きになってしまって生えてこられず、この炎症を起こすことが多くなります。

2.萌出時の疼痛

不知が生えてこようとする時、出てこようとする力が歯茎や隣の歯を押す為に痛みが生じることがあります。場所が十分有れば、しばらく断続的な痛みが続いた後、歯茎が膨らんで、親不知が生えてきます。場所が足らない場合、押される力も強くなります。

奥歯の後ろの痛みが強い場合は、歯科医院で親不知があるかどうか、生えてこられそうかどうかをレントゲンで確かめてもらうことをお勧めします。

3.親不知に限らない痛み

1.2.のような親不知独特の痛みの他にも、虫歯になれば他の歯と同じように痛みが起こります。

一番後ろに生えてきて歯ブラシがしにくいところにあることも原因となって、虫歯になりやすい傾向にあります。また、生えてくる方向などによっては虫歯の治療が困難であることもあります。

4)どんな時に痛くなるの?

智歯周囲炎の痛みがどんな時に起こるかをお話します。

「とても忙しい時に親不知が腫れて困った」などという話を聞いたことはありませんが?

智歯周囲炎の症状は、歯槽膿漏などと同じように静かに進行します。
軽い炎症が起こっていても体調の良い時には、自覚症状はほとんどありません。せいぜい、堅い物を咬むと痛いといった程度です。

炎症が進み、ある日、突然の様に歯茎が腫れてきたり、頬が腫れたり、ずきずき痛くなったり、口を開けづらくなったり、そんな自覚症状があらわれてびっくりして歯科医院へ飛んで行くという人が多いように思います。

お話をうかがってみると、忙しくて疲労がたまっていたり、小さな赤ちゃんがいて睡眠を十分とれていなかったりという事があります。

睡眠や栄養が十分とれていなかったり、過労になっていたり、風邪をひいて体調を崩したりしたときに、智歯周囲炎の炎症が悪化するのはよくあることなのです。そして、体調が改善するまでは、智歯周囲炎の炎症もなかなか治まりません。

また、その時は体調を整えることで症状が無くなったとしても、親不知がそこにある限り、また体調を崩した時に智歯周囲炎の症状が表に出てくると思った方が良いでしょう。

どうもこれは親不知からくる痛みらしいと思ったら、忙しくてもなんとか時間を作って歯科または口腔外科を受診して下さい。

5)痛くなったらどうするの?

では、痛くなってしまった時の対処についてお話します。
まずは、歯科か口腔外科を受診して下さい。

1.智歯周囲炎の痛み

智歯周囲炎の炎症の症状が強い時は、歯のまわりだけではなく、のどや、顎の関節の周囲も炎症を起こしている為に、口を開けることも難しいことがあります。症状の程度にもよりますが、まず、レントゲンで親不知の位置を確認し、患部の消毒を行います。

当日は具体的な処置を行うことは難しいので、お薬が処方される場合が多いと思います。細菌の増殖を押さえる為に「抗生物質」炎症をおさえるために「消炎剤」眠られないような痛みがあれば「鎮痛剤」患部を清潔に保つ為に「うがい薬」などが、処方されます。

体調を整え、患部の炎症が有る程度治まった時点で、親不知の抜歯を示唆されることでしょう。
一般の歯科医院で抜歯するのが難しいような場合は、口腔外科の専門医を紹介されます。

2.萌出時の疼痛

親不知が、きちんとした位置に生えてこようとしているのなら、それまでの間、痛み止めなどを使って待つことになるでしょう。

ただ、生えてくるのが難しい位置にあって、隣の歯に何か影響をしているような場合は、抜歯を勧められることも有ります。
この場合の抜歯は、まだ生えてきていない歯の抜歯と言うことになります。痛みの程度や、隣の歯への影響を考えて、抜歯を受けるかどうかをきめて下さい。

3.親不知に限らない痛み

親不知が虫歯になったために痛みが有る場合は、通常の虫歯の治療と同じような処置になります。

ただ、親不知が生えている位置によっては、治療が大変困難な場合も有ります。その場合は、抜歯を勧められることも有りますので、御自身の希望を歯科医師に伝えるようにしましょう。

6)抜くのが大変って本当?

親不知を抜いたけどとっても大変だったという話をよく聞きます。
親不知のある場所によっては確かに大変です。

親不知のある場所が、下顎で、きちんとはえてくることができないで横を向いてしまっている時は、ちょっと大変かも知れません。

上を向いてちゃんと生えてきた歯にくらべると、半分埋まっている歯を抜く為には、歯をいくつかに分割しなければならなかったり、歯の一部を覆っている歯槽骨を除去しなければならなかったりと、手順が多くなります。時間もかかります。処置の内容上、麻酔も多めに使うことになります。

また、口の奥の方にあるのですから、ある程度大きく口を開けていただかなければ、手が届きません。

このような事を考えると、大変なこともありますとお答えせざるを得ません。一般の歯科医院では困難な場合は口腔外科の専門医へ紹介する場合もあります。

ですから、保存することと抜歯することのメリット・デメリットをよく考えた上で、抜歯するかどうかを決めましょう。抜くかどうかは、主治医と良く相談して決めて下さい。

「どんな時に痛くなるの?」の項で触れたように、
智歯周囲炎の痛みは、体調の悪い時に起こりがちです。
それは、とりもなおさず、本人にとって一番困る時に起こると言うことです。

例えば、

・仕事の山場で徹夜を続けてここを乗り越えれば、という時
・結婚式の直前
・妊娠初期のつわりで栄養がとれない時
・出産後の授乳期で、夜もよく眠られない時
そんな時です。

特に、妊娠初期や授乳期の患者さんは、抗生物質を含め、投薬を嫌います。しかし、智歯周囲炎の急性症状が出ている時、投薬無しで乗り越えることは困難です。妊娠初期はともかく、授乳期であれば一旦ミルクに切り替えて他の人に夜間の授乳を替わってもらって睡眠をとるようにお勧めしたい程です。

これから先、もっと大変な時に痛みが出て、抜くにも抜けないという事もあるかもしれないと言うことを考えに入れて、今抜くかどうかを決めて下さい。個人的には、女性の方は、出産をしないと決めている場合を除いて、妊娠の可能性の無い時期に抜歯をすませて置くことをお勧めします。

7)抜いた後腫れるの?

最後に抜いた後の事についてご説明します。

確かに抜いた後に腫れることもあります

腫れるのは大抵、下顎の親不知です。
痛みがでやすいのも、抜きにくいのも、そして抜いた後腫れることが多いのも下顎の親不知です。

特に、埋まっている部分が多い時、何回も炎症の症状を繰り返してきた時、などは後からも腫れが起こりがちです。
炎症の症状が治りきらずに腫れていることもありますし、歯を抜く為の手術の結果、周囲の組織が腫れていることもあります。後者は怪我をした後にこぶになったりすることと同じような物だと思って下さい。

この腫れが外に向かって広がると、頬が膨らんでみえます。顎の上の方に向かって広がると、顎の関節の周囲に近付く為口を開けづらくなります。下の方、のどの方に向かって広がると、ものを飲み込みづらくなったり、のどがいがいがするようになったりします。

このような症状は、抜歯後1~2日がピークで、その後次第に楽になり、だいたい1週間から10日後には、歯茎を縫いとめていた糸を抜糸することになります。

抜糸後の治療

抜歯は急性症状が治まってから行われますし、術後感染の防止のために、必要な場合は抗生物質の服用も指示されますので、きちんと指事を守っていれば、まず感染による症状の悪化が起こることはありません。

通常は、抜歯の翌日に消毒のために受診し、次は抜糸のために受診します。状態がよければ、抜糸を行って治療を終了することになります。

ほかにも親不知が有る時

他にも親不知が有る時には、抜糸後の治癒を待って、抜くように勧められるかも知れません。急性炎症を起こす前に抜く方が本人に取っての苦痛は少なくて済むと思います。抜歯の必要のない親不知の抜歯を勧められる可能性は低いと思います。

できれば早く抜いておいた方がよいでしょう。

困った時に

休日に歯が痛くなったら

歯科医院の休診日は重なっていることが多いのでお休みの日に歯が痛くなるとお困りになることでしょう。
そんな時の対処法、そうならない為の準備の仕方についてお話します。

 1)救急医療体制の調べ方
 2)痛みの種類と歯の状態
 3)痛みの種類と応急処置
 4)外傷の応急処置
 5)常備薬などについて
 6)痛くなりそうな予感
 7)定期検診で備えは万全

1)救急医療体制の調べ方

ここでは、歯科以外の事も含めて救急医療体制の調べ方を書いておきます。

・救急医療の体制について調べておきましょう

市町村の広報誌、新聞の日祭日の地方欄などを見て住んでいる地区の救急医療の体制を知っておきましょう。大きな救急医療のセンターを持っている地方も有りますし、医療機関が当番制で担当していることもあります。センターがあればその場所や電話番号を何かに控えておきましょう。当番制の場合は、何を調べればわかるのかを覚えておきましょう。

・バカンス、帰省の際の救急医療

長期間滞在するような形で旅行される場合は、予めその土地の救急医療の体制をしっておく方が安心です。特に小さなお子さんが御一緒の場合は、急に体調を崩すことや、思いがけない怪我をすることもあります。
大きな都市のホテルなどに滞在するのであれば、ホテルで手配してくれるでしょう。帰省の場合は、帰省先の家庭で前項のようにして調べてもらっておきます。

・インターネットで調べる

救急当番等は、歯科医師会、医師会のホームページを介して調べるのが早いかも知れません。

http://www.dentalink.or.jp/doctors.html
全国の歯科医師会のリンク集

http://www.med.or.jp/kakuti/kakuti/link.html
日本医師会のホームページ上の各地医師会リンク集

自治体のホームページを検索するのなら自治体のホームページリンク集が便利です

http://www.nippon-net.ne.jp/cgi-bin/search/mapsearch/nn_MapSearch.cgi
全国自治体マップ検索
自治省などが提供している全国の自治体の公式ホームページのリンク集

http://www.nsknet.or.jp/~ana/jiti
全国の自治体のホームページを集めたリンク集
3,213自治体全ての名称と振り仮名を列記(現在 3368 URL)。
自治体「公式」のページをリンクするように努めていますが、検索できない場合には公的・個人のページにリンクしています。名称が太字の場合は独自ドメインと思われる URL です(現在 2644 URL)。

2)痛みの種類と歯の状態

次に何が原因で、どんな痛みがおこるのかについて説明しましょう
虫歯などが原因で起こる痛みの種類と歯や歯茎の疾患の状態には次のような関係があります
応急手当ての前に知っておいてください。緊急度はタイトル横の【!】の数で検討をつけて下さい
同じような症状でも、原因が異なることがあります。思い当たることはありますか?

・冷たい物がしみる!?

比較的小さな虫歯ができているかもしれません。歯槽膿漏などが原因で歯茎が下がると、歯根の部分が露出してしみることがあります。 

・熱い物がしみる 甘い物がしみる   !!

少し大きな虫歯の可能性があるます。神経まで進んでいるかも知れません。    

・何もしなくても痛い ずきずきする !!!

神経の炎症をおこしているかもしれません。歯肉の急性炎症でもこのような痛みがでることがあります 周りの歯茎の炎症が急性化している可能性があります。

・咬んだ時に痛い !!

虫歯が原因となって根の周りに炎症が起こっているかもしれません。歯槽膿漏があるかもしれません。歯茎に慢性の炎症があるかもしれません。

・じわじわ嫌な感じがする !!

根の先に慢性の病巣があることがあります。歯槽膿漏で慢性の炎症があるかもしれません。歯茎に慢性の炎症があるかもしれません。

・歯茎がはれている !!!

根の先の病巣が化膿して歯茎が腫れることがあります。歯槽膿漏の自覚症状として歯茎全体の腫れや出血があります。周りの歯茎の炎症が急性化している可能性があります。

・頬が腫れている !!!!

根の先の病巣が原因で顔が腫れることがあります。歯槽膿漏が原因で起こることは少ないと思われます。周りの歯茎の炎症が急性化している可能性があります。熱が出る事もあります。

今、緊急性が低い場合も、虫歯や歯茎の炎症を放置すると次第に進んでいく可能性があります。
今困っていないからと言ってそのままにしておかず、早めに治療を受けるようお勧めします。
特に慢性の炎症が有る場合など、もしかしたら、この次の祭日、急に痛くならないとも限らないのですから。

3)痛みの種類と応急処置について

痛みの種類によって必要な応急処置は違います。何が原因か見当をつけてから簡単な応急処置を行いましょう。

どんな痛みがあるのか
どこが痛いのか
虫歯の有無
歯肉の腫れの有無

などから、原因が虫歯か 歯槽膿漏か  大体の見当をつけます。

■ 虫歯が原因だと思った時

・処置

痛みが強く、はっきりそこだと分かる虫歯の穴が有る時は、虫歯の痛みをとるような応急処置をとります。

まず、虫歯の穴の中をきれいにしましょう。食べかすなどがつまっているようなら、つまようじ等を使ってそって取ります。うがい薬やぬるま湯で患部を洗浄するようにうがいをします。

・市販の薬の使用

薬局で市販されている虫歯の塗り薬が手に入れば、小さく丸めた綿につけて虫歯の穴に塗ってもかまいません。この類いの薬は消毒と鎮静の作用のあるものが多いと思われます。

常用している市販の鎮痛剤があれば使ってもかまいません。
薬を使う時は、添付されている文書を良く読んでからにしましょう。

・処方を受けたくすり

急患でみえる方の中には、痛みが強かったので以前医療機関で処方された鎮痛剤を使用しましたとおっしゃる方がいらっしゃいます。

これはさけて下さい。

特に、大人の方がもらった薬を半分に割って子どもに使うような乱暴なことはなさらないでいただきたいものです。処方薬が市販されていないのは、診断のもとに使わなければならない理由があるのです。

■ 歯周病が原因だと思った時

はっきりとした虫歯がなく、歯に近い部分の歯茎の腫れ、出血、歯の動揺などがある時は、歯槽膿漏を疑います。

柔らかい歯ブラシデンタルフロス、細めの歯間ブラシなどでそっと汚れをとり、よくうがいをします。

堅い物などを咬むと痛みが強くなることが有ります。患部をできるだけ安静にしていて下さい。
痛み止めの使用については前項を参照して下さい。

■ 親知らずが原因だと思った時

全体的に歯ブラシが行き届いていて歯肉の状態が良い人でも、半分埋まったまま生えてくることができなくなっている親不知の周囲の歯茎に炎症を起こすことが有ります。

これは親不知の周りの歯茎と歯の間に、汚れがたまりやすい構造になっているためです。構造上の問題ですから、急性症状がなくなった後に抜歯することを勧められるケースが多いでしょう。

応急処置としては、歯周病の項を参照して下さい。
痛み止めの使用については虫歯の項を参照して下さい。

*歯肉や頬が腫れている時

疲労がたまっていたり、風邪をひいていたりと、全身状態が良くないことがあります。体を安静にしてよく休む様にしましょう。無理をすると症状が悪化する可能性もあります。

これらの応急処置は、あくまで休日医療の行われているところを見つけるまで、または翌日までのその場しのぎです。

もし、幸いにして痛みがおさまったとしても、いつまた痛くならないとも限りません。そしてその時にはさらに症状が進んでいる可能性が高いのです。早い機会に歯科を受診なさるようお願いいたします。

4)外傷の応急処置

外傷は突然やってきます。外傷に予め備えておくことはできません
小さなお子さんのいる家庭は、簡単な応急処置について、ぜひ、知っておいていただきたいと思います。
転んだり、ぶつかったり、高いところから落ちたりして頭や顔をぶつけたとき、歯をぶつけることがあります。

1.まず、外傷の程度を確認します

・頭の傷

最初に確かめるのは一番大切な頭です。
頭をぶつけてはいないか。傷の有無。
意識ははっきりしているか。
こぶはあるか、ないか。
吐き気などはないか。

頭を強くぶつけたときは、119番して指示をあおぎましょう。

・顔の傷

顔を切っていないか。
内出血はないか。
骨折などはないか。

・口の中の傷

傷口をガーゼなどで押さえて圧迫止血してから傷口の大きさをチェックして下さい。
出血が多い場所なので驚く方が多いのですが、最初に思ったより小さな傷であることがあります。

・歯の状態

身体の状態に緊急性がないことをたしかめてから歯の状態を確認します。

2.歯の外傷の応急処置

・歯が抜けた時

一度抜けた歯でも、もとの位置に戻せることもあります。あきらめないでください。歯がよごれていない時、落ち着いてもとの位置に戻せるのならもどしましょう。

外で怪我をして抜けた歯に泥などがついた場合は、水道水ではなくできれば生理食塩水にいれて歯科にもっていきましょう。

ない時は、ポカリスエットなどや、牛乳にいれてもかまいません。
乾燥するのはよくありません。

汚れているからと強くこするのは厳禁です。

・歯がぐらぐらしている時

ぶつけたために抜けそうになっていますので、そっとして急いで歯科に行きましょう。

・歯が折れた時

折れた破片も残っていれば持参して歯科に行きましょう。破片の大きさなど条件が良ければ接着してしばらく使える事があります。

歯の外傷の治療については「歯の外傷」のページに詳しく説明しています。

5)常備薬などについて

予め備えておけることはどんなことがあるでしょうか?

歯科疾患に対して家庭でできることは限られています。
それでも備えておくことで落ち着いて対処できることもあります

1.常備薬の用意

薬には使用できる期間に期限がありますのでやみくもに買い置きすれば良いというものではありません。

現在は夜遅くまで空いているドラッグストアもありますので、御家庭の事情、使用の頻度などに合わせて常備薬を用意しましょう。

定期的にチェックして期限を過ぎた薬品などは廃棄されるようになさってください。

ここでは、歯の痛み、歯茎の腫れ、口腔内の外傷に関係のあるものに限ってお話します。

・怪我をした時の用意

外傷はいつ起こるかわからないものです。

最低限の消毒薬、包帯などのたぐい、湿布薬のようなものの用意があればいざと言う時に安心です。

ソフトコンタクトレンズを使用している家族があれば買い置きの生理食塩水があると思います。もしあれば、傷口の洗浄には水道水より適していると思います。

・痛み、発熱などに対する用意

使ったことがあってアレルギーがないと思われる鎮痛剤があれば、常備していてもよいでしょう。使ったことのある薬でも使用の前には必ず添付文書に目を通し、使用期限を過ぎていない事を確認しましょう。

2.薬局の利用

病院や医院の受付時間を過ぎても空いている薬局は多いものです。調剤薬局はしまる時間が早いことが多いですが、薬暦を把握してくれているかかりつけの薬局があると心強いと思います。

近くに遅くまでやっている薬局があるようなら、応急処置に必要なものを購入できるはずです。使用法については、薬剤師さんの指事を守って下さい。

6)痛くなりそうな予感

もうすぐ長期休暇。なんだか歯の調子が悪い。
痛くなりそうな予感する、そんな時にはかかりつけの歯科医院で見てもらっておきましょう

外傷以外の場合は、急に痛くなったとしても、しばらく前から、何か気になることがあることが多いと思います。次にあげるような不調がある場合は、我慢できない程ではなくても早めに歯科を受診することをお勧めします。

1.何かがしみる

冷たいもの→甘いもの→熱いものと、虫歯が進行するにつれてしみるものがかわってきます。冷たい物がしみるときはまだ詰めればなおせる程度の進行であることが多いのですが、甘いもの、熱いものがしみるとすると虫歯は神経の近くまで近付いていると思われます。このようなものがしみることが気になる時は、今のうちに治しておきましょう。

2.咬むと痛い・じわじわいやな感じがする

咬むと痛い時は、歯を支えている周囲の組織の炎症が起こしていると思います。堅い物を咬んだのが契機になって急に痛くなるかもしれません。また、歯の根の先に慢性の病巣ができているとき、歯槽膿漏の症状があるときに、じわじわした不快感や違和感、歯の浮くような感じ、が続くことがあります。
早めに歯科を受診して何が原因か検査しておきましょう。

3.歯肉の出血

歯ブラシの時、少し歯ごたえの有る物を齧った時に歯肉から出血から血がでるようなら、歯槽膿漏が進んでいるかも知れません。

4.いやな味

歯肉の炎症による少量の排膿、とれそうになっている冠からのセメントの漏出などで、いやな味や臭いを感じることもあります。

忙しい時、少しの不調で歯科医院を訪れるのは面倒なことです。

けれども、症状が進行してからの通院は回数がかかることも多く、治療にも苦痛を伴う可能性があります。このぐらいなら、と我慢しないで歯科にいらしてください。

7)定期検診で備えは万全

休日に空いている歯科医院を探したことが有る人なら、もうこんなことは避けたいと思われることでしょう。そのためにはどうすればよいのでしょうか?

大人の方なら、年に1回、できれば2回。お子さんなら3~4回の定期検診を受けることをお勧めします。

定期検診を受けていれば虫歯にならないとは限りませんが、この程度の間隔で検診を受けていれば、突然大きな虫歯ができる様な事は少ないはずです。

定期検診を受けるかかりつけの歯科医院、なんでも相談のできるかかりつけの歯科医師を持つ事で、あらかじめ急な痛みが起こるような可能性を少なくする事ができると思います。

かかりつけの歯科医院をもちましょう

歯をぶつけてしまった時の応急処置・治療の方法は?

歯の外傷の予後は、直後の対応によって左右される部分があります。
今は関係ないと思っていらしても頭の片隅に覚えているかどうかで治り方が違ってくると思います。

1)怪我をしたら
2)その場での処置
3)電話の前に
4)当日の処置
5)翌日のチェック
6)一週間後
7)一ヶ月後

1)怪我をしたら

ここでは、歯の外傷についてお話していきます。怪我をしたらまず、落ち着いて下さい。それから怪我の状態を確認して下さい
どんな落ち着いた性格の方でも、怪我をして出血をすれば驚きますし、自分の事ではなく周りの人の事であっても動転するのが当たり前です。けれどもまず深呼吸をして、落ち着きましょう。あわてても怪我は治りません。冷静になって怪我の状態を確認し、どう対処するのかを決めましょう。
交通事故や過失による事故などでは、後々のために怪我をするに到った状況をきちんと把握しておく必要もあります。

1.外傷の程度の確認

歯の怪我の場合、頭や顔にも怪我をしていることがあります。
怪我の程度によっては、救急車の手配をしなければなりません。
自分達で交通機関を確保して移動できる状況かどうか見極めましょう。

2.警察への連絡

もし、交通事故によって怪我をした場合には、警察への届出を忘れないようにして下さい。怪我をしたことで動揺して忘れてしまうこともあるようです。気をつけましょう。

3.医療機関への連絡

休診日などの事故の場合には、救急車を頼むような状態でないとすれば、自分で対応してもらえる医療機関があるかどうか探さなければなりません。

何科にかかったらよいか分からないような状態であれば、診療科目が多く入院設備の有るような総合病院に相談してみましょう。

4.歯科医院への連絡

身体の他の部分に怪我がなく、他科への受診の必要がない場合は、歯科を受診します。かかりつけの歯科があればまずそこに連絡しましょう。

その医院で対処できないような状態であれば専門医を紹介してもらえるはずです。

特にかかりつけの歯科がない場合は、
 お子さんなら 小児歯科、
 大人の方なら 口腔外科の標榜をしているところ
を受診されるとよろしいでしょう 。

このような手配と平行して、その場での処置を行います。

2)その場での処置

怪我をした直後にどんな処置をしたかで、その後の治り方に違いがでてきます。

ここからは、口の中の怪我についてお話していきます。
口の中の怪我の種類別に対応を整理しましょう。

・骨折

無理に動かさない。
骨が折れていると思われる場合は無理に動かさないように注意して、口腔外科か整形外科を受診して下さい。

・歯の動揺

さわらない。
歯が動いている時にはそれ以上さわらないようにしましょう。

・歯の脱落

乾燥させない。

きれいな状態であればもう一度もとの位置に戻すこともできます。
よごれていても自分では洗わずそのまま乾燥させないように注意して歯科に持参します。

もしあれば整理食塩水、なければイオン飲料水(cf.ポカリスェット)や牛乳にいれて持って行きます。水道水はお勧めできません。

・歯の破折

さわらない。
折れた破片があればもっていきましょう。

保存方法は、上の「脱落した歯」と同様に

・軟組織の損傷

止血する。

かるくうがいをして、ガーゼなどで止血して傷口の状態を確認します。中々止血しない時にはガーゼなどでしっかり傷口をおさえておきます。

ポイントは、「汚さない、無理に動かさない、乾燥させない」です。

3)電話の前に

一刻も早くとは思うでしょうが電話の前に「メモ」をとりましょう。

歯科医院に出かける前に電話をして外傷の対応をしてもらえるかどうか確認します。場合によっては口腔外科などの専門医を紹介されるかもしれません。

電話の前にメモをとって、効率的に質問に答えましょう。
怪我の状態や、怪我をした人の年令によっては、口腔外科や小児歯科を紹介されるかもしれません。

下記のポイントに沿ってメモを取ります

怪我をした人:年令・性別

怪我をした状況:いつ・どこで・何をしていて・どのように

怪我の状態:

 口の外の怪我の状態:顔や頭などの傷の有無
 口の中の怪我の状態:舌や頬の内側、唇などの怪我の有無
 歯の状態:歯の動揺・脱落・破折などの状態

以上の様なことを簡単にメモしておきましょう。

電話の時、受付での説明、歯科医師に問診を受ける時などに
きっと役に立つはずです。

4)当日の処置

怪我をして歯科を受診すると、どんな処置をうけるのでしょう?当日は消毒、整復、固定などを行います。

1.問診

怪我をするに到った状況
現在の症状などについて

お話をうかがいます。

また、もともとの体の状態などで心配なことがあればきちんと伝えておきましょう。

2.検査

口の外、口の内側の怪我の状態の確認。
歯の状態の確認。
レントゲンの撮影などの検査を行います。

その医院で対応できないような状態であれば口腔外科などの紹介を受けることになります。

3.消毒 縫合

口の内外の軟組織の損傷については消毒を行います。
軟組織の傷の状態によっては、縫合が必要な場合も有ります。

口の中の傷については歯科医院で行いますが、口の外の傷については、外科、もしくは形成外科を受診することになるかもしれません。

4.破折した歯の処置

歯の破折があればその処置を行います。

破折の程度によって、
 しみないように薬品を塗布する、
 欠けたところに合成樹脂を詰める、
 神経をとる、
などの処置になります。

必要に応じて、麻酔を施します。

また、破折の程度が著しく保存が不可能な場合は抜歯になることもあります。

5.抜けそうな歯の処置

まず正しい位置に歯を戻し(=整復)、
動かないように固定します。

一度抜けてしまった歯でも保存の状態によっては、もとの位置に戻すことが可能です。完全に抜けてしまった歯はもとに戻す前に神経をとってしまい、内部を薬剤で閉鎖することもあります。

6.骨折の処置

顎の骨をもとの位置に戻して、骨がつくまでの間、固定することになります。

骨折している場合の治療は口腔外科の専門医の元で受けられるとよろしいでしょう

7.投薬

感染の防止に抗生物質などの投薬を受けることがあります。歯ブラシのできないような時は、うがい薬などもでます。

処置が終わったら、怪我の程度によって次回の予約をとります。

5)翌日のチェック

怪我をした翌日、消毒のために受診をすることがあります。

怪我の状態を確認し、必要に応じて処置や投薬を受けます。ここでは、一般の歯科医院で治療を受け、当日帰宅をした場合にしぼってお話します。

・痛みの状態

強い痛みがないかどうか、鎮痛剤を使用したかどうかなどについて確認します。

痛みが余り強い場合は何が原因かを確認し、再処置を行います。
通常は、骨折以外の場合、翌日の来院時には、痛みはだいぶおさまっています。

・全身状態

睡眠、栄養は通常通りとれたかどうか、発熱などの全身症状の有無について確認します。状態によっては他科の受診をお勧めします。

・軟組織の傷の状態

感染の可能性がないかどうか、確認をします。

感染の可能性が有る場合、抗生物質の投与などについて再考します。縫合をした場合はその状態も確認します。

・歯の状態

抜けかけた歯などを固定した場合は、固定の状態をチェックします。
私どもでは翌日の状態がよければ、次は1週間後に再来していただいています。

6)一週間後

怪我をして一週間後の傷の状態を確認します

・痛みの状態

この時期に痛みが続いている場合、傷口からの感染がないか、初診時に歯の破折や骨折を見のがしていないかを再確認する必要が有ります。通常は、この時期には日常生活に差し障るような痛みは見られません。

・全身状態

何か心配な症状がないかどうか確認します。

・軟組織の傷の状態

一週間で軟組織の傷口はだいたいふさがっています。傷口を縫合した場合はこの回に抜糸します。傷口の治り方が遅い場合、感染を起こしていないかどうか確認します。

・歯の状態

抜けかけた歯などを固定した場合は、固定の状態をチェックします。固定装置の脱落・破損などがあれば修理します。

林歯科医院では、小さな外傷の場合はこの回の消毒で終了し、定期検診にまわっていただきます。ぶつけたところの歯の破損などの修復が終わっていない場合は引き続き治療を行います。

固定をした場合、打撲の程度が強い場合には、一ケ月後にもう一度いらしていただきます。

7)一ヶ月後

怪我をして一ケ月後の傷の状態を確認します

・痛みの状態

この時期に痛みが続いていることはまずありません。

・全身状態

何か心配な症状がないかどうか確認します。

・軟組織の傷の状態

もし、傷が治っていないようなら、歯の破折したかけらなどが残っていないか、傷口からの感染がないかを調べます。

・歯の状態

固定をした場合は、そろそろ固定の除去を考えます。大体、4週間から6週間で固定をはずします。この時期になっても歯が全くついていないようなら、抜歯を考えなければならないかもしれません。

ぶつけた時はなんともなかった歯の色が、この時期になって青黒く変色してくることがあります。このような場合、いわゆる神経が壊死している可能性があります。

多くの場合は神経の処置を行うことになります。

ぶつけた当初、神経の麻痺が起き、電気診などで反応が見られない場合も、神経が生きていればこの時期には回復してきます。再検査して、必要な処置を受けます。

・永久歯への影響

乳歯の外傷の場合、これから生えてくる永久歯への影響は心配なことです。

大人の歯の表面に傷がついたり、歯の生える方向がまがってしまったりすることも無いとはいえません。永久歯への生えかわりが終わるまで、定期的に検診を受けることをお勧めします。

生えかわりの時期がきても永久歯が生えてこないような場合はレントゲンをとって確かめることになると思います。

外傷の予後に不安が有る時には継続して見てもらうようにしましょう

親知らずが急に痛くなったら

親不知の事で、お困りの方はいらっしゃいませんか?

私達は、親不知について下のような御質問を良く受けます。
簡単ですが、御説明しましょう。

1)親不知って何?
2)親不知は抜かないとダメ?
3)どうして痛くなるの
4)どんな時に痛くなるの
5)痛くなったらどうするの?
6)抜くのが大変って本当?
7)抜いた後腫れるの?

1)親不知って何?

親不知(おやしらず)が痛くて、とか親不知を抜いたけど、大変だった、と言った話を耳にする事があると思います。

人間の永久歯はもともとは32本です。ところが最近は28本しか生えてこない人が増えています。この無くなりつつある歯が親不知(おやしらず)とか、智歯(ちし)と呼ばれる第三大臼歯です 。

人間の顎は、次第に小さくなっていると言われ、歯の本数も少なくなってきている様です。

しっかりした顎をした人なら、きちんと生えてきて噛み合わせに参加したはずの第三大臼歯も、顎の小さい人では、きちんとした位置に生えてこなかったり、埋まったままになってしまったりすることがあります。

このようなきちんと生えてくることができなかった親不知が、のちのちトラブルの原因となることがあります。
さて、親不知を抜くように言われたという話は、よく聞くことです。

では、どんな親不知も抜かないといけないのでしょうか?

2)親不知は抜かないとダメ?

知り合いが親不知を抜いたらしい。自分も抜かなければいけないのだろうか?

特に困ったことはないのだけれども・・・

親不知は必ず抜かなければならないのでしょうか?

そうとは限りません。

しっかりした顎をした人の場合、親不知もきちんと噛み合わせに参加しています。そのような歯を抜く必要はありません。また、特に何かの障害がない限り、今すぐ抜く必要はありません。

もしかしたら、歯が抜けてしまった時に、ブリッジや義歯を入れる時に必要な歯になるかもしれません。

では、どのような時に抜かなければならないのでしょうか?

きちんと生えてくることができなくて、痛みの原因になっている時。
虫歯が出来たのに、生えてきた位置のために虫歯の治療ができないような時。
生えてきたために、それまでの噛み合わせに異常を来たしたり、顎の痛みを生じたりした場合。

このような場合に歯科を受診されると、親不知の抜歯を勧められると思います。

つまり、親不知の存在によって何らかのトラブルが生じ、抜くことによってそれが解決できる場合で、抜歯した方が保存した時より利益があると思われる場合に、抜歯が行われます。

3)どうして痛くなるの?

どんな時に親不知が痛くなるのかお話しましょう。
きちんと生えてきて噛み合わせに参加している親不知は、めったに痛くなったりしません。

1.智歯周囲炎

親不知に特徴的な痛みはこれです。
最後に生えてくる親不知のために場所が残っていない時、半分顔を出したまま出てこられなくなったり、最初から埋まったままになってしまったりすることがあります。

特に、半分顔を出したまま停まってしまうと、歯と周りの歯茎の間は、汚れのたまりやすい場所になってしまいます。歯槽膿漏によってできる「ポケット」が初めからあるようなものです。この部分の炎症を「智歯周囲炎」といいます。

よく、親不知で頬が腫れた、口が開けられなくなったと言う時は、この「智歯周囲炎」が原因であることが多い様です。
下の親不知は、横向きになってしまって生えてこられず、この炎症を起こすことが多くなります。

2.萌出時の疼痛

親不知が生えてこようとする時、出てこようとする力が歯茎や隣の歯を押す為に痛みが生じることがあります。場所が十分有れば、しばらく断続的な痛みが続いた後、歯茎が膨らんで、親不知が生えてきます。場所が足らない場合、押される力も強くなります。

奥歯の後ろの痛みが強い場合は、歯科医院で親不知があるかどうか、生えてこられそうかどうかをレントゲンで確かめてもらうことをお勧めします。

3.親不知に限らない痛み

1.2.のような親不知独特の痛みの他にも、虫歯になれば他の歯と同じように痛みが起こります。

一番後ろに生えてきて歯ブラシがしにくいところにあることも原因となって、虫歯になりやすい傾向にあります。また、生えてくる方向などによっては虫歯の治療が困難であることもあります。

4)どんな時に痛くなるの?

智歯周囲炎の痛みがどんな時に起こるかをお話します。

「とても忙しい時に親不知が腫れて困った」などという話を聞いたことはありませんが?

智歯周囲炎の症状は、歯槽膿漏などと同じように静かに進行します。
軽い炎症が起こっていても体調の良い時には、自覚症状はほとんどありません。せいぜい、堅い物を咬むと痛いといった程度です。

炎症が進み、ある日、突然の様に歯茎が腫れてきたり、頬が腫れたり、ずきずき痛くなったり、口を開けづらくなったり、そんな自覚症状があらわれてびっくりして歯科医院へ飛んで行くという人が多いように思います。

お話をうかがってみると、忙しくて疲労がたまっていたり、小さな赤ちゃんがいて睡眠を十分とれていなかったりという事があります。

睡眠や栄養が十分とれていなかったり、過労になっていたり、風邪をひいて体調を崩したりしたときに、智歯周囲炎の炎症が悪化するのはよくあることなのです。そして、体調が改善するまでは、智歯周囲炎の炎症もなかなか治まりません。

また、その時は体調を整えることで症状が無くなったとしても、親不知がそこにある限り、また体調を崩した時に智歯周囲炎の症状が表に出てくると思った方が良いでしょう。

どうもこれは親不知からくる痛みらしいと思ったら、忙しくてもなんとか時間を作って歯科または口腔外科を受診して下さい。

 

5)痛くなったらどうするの?

では、痛くなってしまった時の対処についてお話します。
まずは、歯科か口腔外科を受診して下さい。

1.智歯周囲炎の痛み

智歯周囲炎の炎症の症状が強い時は、歯のまわりだけではなく、のどや、顎の関節の周囲も炎症を起こしている為に、口を開けることも難しいことがあります。症状の程度にもよりますが、まず、レントゲンで親不知の位置を確認し、患部の消毒を行います。

当日は具体的な処置を行うことは難しいので、お薬が処方される場合が多いと思います。細菌の増殖を押さえる為に「抗生物質」炎症をおさえるために「消炎剤」眠られないような痛みがあれば「鎮痛剤」患部を清潔に保つ為に「うがい薬」などが、処方されます。

体調を整え、患部の炎症が有る程度治まった時点で、親不知の抜歯を示唆されることでしょう。
一般の歯科医院で抜歯するのが難しいような場合は、口腔外科の専門医を紹介されます。

2.萌出時の疼痛

親不知が、きちんとした位置に生えてこようとしているのなら、それまでの間、痛み止めなどを使って待つことになるでしょう。

ただ、生えてくるのが難しい位置にあって、隣の歯に何か影響をしているような場合は、抜歯を勧められることも有ります。
この場合の抜歯は、まだ生えてきていない歯の抜歯と言うことになります。痛みの程度や、隣の歯への影響を考えて、抜歯を受けるかどうかをきめて下さい。

3.親不知に限らない痛み

親不知が虫歯になったために痛みが有る場合は、通常の虫歯の治療と同じような処置になります。

ただ、親不知が生えている位置によっては、治療が大変困難な場合も有ります。その場合は、抜歯を勧められることも有りますので、御自身の希望を歯科医師に伝えるようにしましょう。

6)抜くのが大変って本当?

親不知を抜いたけどとっても大変だったという話をよく聞きます。
親不知のある場所によっては確かに大変です。

親不知のある場所が、下顎で、きちんとはえてくることができないで横を向いてしまっている時は、ちょっと大変かも知れません。

上を向いてちゃんと生えてきた歯にくらべると、半分埋まっている歯を抜く為には、歯をいくつかに分割しなければならなかったり、歯の一部を覆っている歯槽骨を除去しなければならなかったりと、手順が多くなります。時間もかかります。処置の内容上、麻酔も多めに使うことになります。

また、口の奥の方にあるのですから、ある程度大きく口を開けていただかなければ、手が届きません。

このような事を考えると、大変なこともありますとお答えせざるを得ません。一般の歯科医院では困難な場合は口腔外科の専門医へ紹介する場合もあります。

ですから、保存することと抜歯することのメリット・デメリットをよく考えた上で、抜歯するかどうかを決めましょう。抜くかどうかは、主治医と良く相談して決めて下さい。

「どんな時に痛くなるの?」の項で触れたように、
智歯周囲炎の痛みは、体調の悪い時に起こりがちです。
それは、とりもなおさず、本人にとって一番困る時に起こると言うことです。

例えば、

・仕事の山場で徹夜を続けてここを乗り越えれば、という時
・結婚式の直前
・妊娠初期のつわりで栄養がとれない時
・出産後の授乳期で、夜もよく眠られない時
そんな時です。

特に、妊娠初期や授乳期の患者さんは、抗生物質を含め、投薬を嫌います。しかし、智歯周囲炎の急性症状が出ている時、投薬無しで乗り越えることは困難です。妊娠初期はともかく、授乳期であれば一旦ミルクに切り替えて他の人に夜間の授乳を替わってもらって睡眠をとるようにお勧めしたい程です。

これから先、もっと大変な時に痛みが出て、抜くにも抜けないという事もあるかもしれないと言うことを考えに入れて、今抜くかどうかを決めて下さい。個人的には、女性の方は、出産をしないと決めている場合を除いて、妊娠の可能性の無い時期に抜歯をすませて置くことをお勧めします。

7)抜いた後腫れるの?

最後に抜いた後の事についてご説明します。

確かに抜いた後に腫れることもあります

腫れるのは大抵、下顎の親不知です。
痛みがでやすいのも、抜きにくいのも、そして抜いた後腫れることが多いのも下顎の親不知です。

特に、埋まっている部分が多い時、何回も炎症の症状を繰り返してきた時、などは後からも腫れが起こりがちです。
炎症の症状が治りきらずに腫れていることもありますし、歯を抜く為の手術の結果、周囲の組織が腫れていることもあります。後者は怪我をした後にこぶになったりすることと同じような物だと思って下さい。

この腫れが外に向かって広がると、頬が膨らんでみえます。顎の上の方に向かって広がると、顎の関節の周囲に近付く為口を開けづらくなります。下の方、のどの方に向かって広がると、ものを飲み込みづらくなったり、のどがいがいがするようになったりします。

このような症状は、抜歯後1~2日がピークで、その後次第に楽になり、だいたい1週間から10日後には、歯茎を縫いとめていた糸を抜糸することになります。

抜糸後の治療

抜歯は急性症状が治まってから行われますし、術後感染の防止のために、必要な場合は抗生物質の服用も指示されますので、きちんと指事を守っていれば、まず感染による症状の悪化が起こることはありません。

通常は、抜歯の翌日に消毒のために受診し、次は抜糸のために受診します。状態がよければ、抜糸を行って治療を終了することになります。

ほかにも親不知が有る時

他にも親不知が有る時には、抜糸後の治癒を待って、抜くように勧められるかも知れません。急性炎症を起こす前に抜く方が本人に取っての苦痛は少なくて済むと思います。抜歯の必要のない親不知の抜歯を勧められる可能性は低いと思います。

できれば早く抜いておいた方がよいでしょう。

小児歯科

学校検診で何をチェックしているのですか?検診の上手な利用法は?

夏休みの前までに多くの学校、幼稚園などで歯科検診の結果のお知らせをいただくと思います。
折角受けた検診を上手に利用しましょう。

 1)学校検診でもらう紙のチェックポイント
 2)学校検診の意義と限界
 3)虫歯があると言われたら
 4)歯肉に炎症が有ると言われたら
 5)歯並びが悪いと言われたら
 6)要注意乳歯と言われたら
 7)早期発見・早期治療について

1)学校検診でもらう紙のチェックポイント

現在の学校歯科検診では次のような点をチェックしています。まず用紙をよく見てみましょう。

1. 虫歯の有無

今お子さんを育てている方の子供時代にも、もちろんあったと思いますが、虫歯の状態のチェックです。学校によって記載方法がちがうのですが、乳歯、永久歯にわけて、治療の必要な虫歯の数が記入してあることが多いようです。

2. 歯肉の状態

最近では、子供の歯肉炎の有無もチェックされています。

大人の歯槽膿漏のような重症なものはまずありませんが、歯ブラシがゆきとどかない状態が長く続いている場合が多い様です。また、次にのべるような歯並びのでこぼこが原因で上手に磨くことができずにいることもあるようです。

3. 歯並びの状態

日本人の歯並びは次第に悪くなっているのではないかとマスコミでも取り上げられることが多くなってきたように思います。学校検診でも、歯並びの状態のチェックが行われています。

最近増えていると言われているのは、歯並びの凸凹ですが、

これ以外に、
 下顎がでている反対咬合   下顎前突、
 いわゆる「出っ歯」の、   上顎前突
 上下の歯が噛み合っていない 開咬
などがあります。

4. 生え変わりの時期の乳歯

生え変わりの時期がきている乳歯が要注意乳歯などとチェックされていることがあります。大人の歯が生えてもきちんと抜けていない時などは歯科で診てもらうといいでしょう。
検診の用紙をよく見てから、かかりつけの歯医者さんにおでかけください。

お子さんの口の中と見比べて疑問に思うことがあったら担当医に御質問ください

2)学校検診の意義と限界

検診の用紙をもらって歯科医院に行くともらった用紙と歯科で言われた虫歯の本数が違っていたということはありませんか?

・学校検診の限界

学校検診は、体育館や空き教室を利用して、短時間で多くの生徒さんの口の中を検査します。口の中を見るためのライトは簡単なものですし、採光のよい部屋とは限りません。多くの場合は、歯科の診療室と違い少々うすぐらい場所での検診となります。

歯並びや、歯肉の状態、大きな虫歯の有無はわかりますが、歯の間のできかけの虫歯を見つけるのは大変難しくなります。

従って、歯科医院で検査してもらうと、「他にも虫歯がありますね」と言われるケースも出てくるのだと思います。逆に、虫歯として指摘されたけれど、歯科医院ではこのまま治療せずに見て行きましょうと言われる場合も有ります。

ではなぜ学校検診を行うのでしょうか?という疑問も出てきます。

・学校検診の意義

なぜ、と言われると困ってしまうのですが、これは私の私見としてお話します。

一つは、虫歯の有無などをある程度チェックすることで、早期治療に結び付けること。また、放置されている大きな虫歯等が見のがされることはまずありませんので、早期発見ではありませんが、それ以上の進行を食い止めることはできると思います。

もう一つの意義としては、学校、市町村、または国単位での検診結果を集計することで、現在の子どもたちがどのような虫歯の状態に有るかを把握し、これからの行政の対応を決める資料になるのでしょう。

では、検診で虫歯を指摘されたらどうしたらいいのでしょうか?

3)虫歯があると言われたら

学校検診で虫歯の指摘をうけたら、まず、検診の用紙で虫歯の本数をチェックしましょう。小さなお子さんではおうちの方がチェックを、親が見るのを嫌がるようになったら本人に鏡を使わせて虫歯の状態をチェックしましょう。

だいたいどの虫歯の事を言われたのか見当がつくと思います。虫歯が大きくなっている時には、急いで歯科医院の予約をとりましょう。
もし、どこに虫歯があるかわからないようであればそれほど大きな虫歯ではないはずです。あまり急がなくても大丈夫ですが、痛みなどの症状がなくても歯科医院で検査をしてもらうことをお勧めします。

検診で虫歯の指摘を受けても、生え変わりの時期が近い乳歯は処置をせずに観察の対象になる時もありますし、永久歯の虫歯でも小さなものは急いで治療をせずきちんと清掃をすることで現状を維持できることもあります。かかりつけの歯科医院でよく相談してみましょう。

また、検診で指摘を受けていなくても、歯科医院で見てもらうと歯の間などの隠れた虫歯が発見されることがあります。歯の間の虫歯は外から見えなくても大きくなっていることがあります。レントゲン検査等の結果、治療が必要と言われた時は、よく説明してもらってから治療してもらいましょう。

4)歯肉に炎症が有ると言われたら

『まだ子どもなのに歯肉が腫れていると指摘されました。そういうこともあるのでしょうか?』このようなご質問を受ける事もあります。小学生なのに歯肉に炎症が有ると言われる場合もあります。

1.小学生の場合

小学生で歯肉の状態が悪いと言われると、『子どもなのにまさか!?』と思われる方が多いのではないでしょうか?

大人の方のいわゆる歯槽膿漏のような重症なものはまず見られませんが、学校検診に行くと歯肉の状態があまり良くないお子さんをみかけます。多くの場合は、あまり歯ブラシが上手にできていないようです。早くも歯石がついていることもあります。

歯並びの凸凹があるお子さんは、どうしてもへこんでいるところの状態が良くないように思います。時々チェックしてあげるといいでしょう。

歯科医院で相談すれば、歯科衛生士さんに上手な歯ブラシの仕方を教えてもらえます。歯石がついている場合はきれいに清掃してもらいましょう。お子さんの歯肉の炎症は、きちんと歯ブラシすれば比較的短期間で治ってしまいます。

2.中学生の場合

子どもの虫歯は少しずつ減少してきていると言われています。しかし、小さい頃はおうちの方に仕上げ磨きをしてもらい、小学校の頃は言われた通りきちんと磨いてきて虫歯の少なかった人が、中学くらいからすっかり歯ブラシをしなくなってしまうこともあります。

歯科医院の側としては、『あら、この子が?』と思うようなことがあり、がっかりしてしまいます。

けれども、もう小さい子どもではありません。自分で納得しなければ、毎日の習慣として歯ブラシを続けることは難しくなります。しかし、ここでしっかりした習慣を身につけないと、早い時期に歯槽膿漏になってしまう可能性があります。本人も若い内に入れ歯を使うようにはなりたくはないはずです。

中学生の歯肉の炎症が指摘された場合には、かかりつけの歯科医院でよく話してもらいましょう。歯肉の汚れがどんな結果につながるかを、まず、本人に理解してもらうことが必要です。

5)歯並びが悪いと言われたら

色々な形の歯並びの不調和があります。本人も、おうちの方も気にしていなくても歯科検診で指摘を受けることがあります。まず、かみ合わせを見てみましょう。

今まで気にしていなかった場合、少しショックかもしれませんが、多くの場合は何らかの歯並びの不調和があるはずです。

分かりやすい不調和である「受け口」「乱ぐい歯」の場合には、早くから気にしている方が多いので、お知らせの紙で指摘をうけると「ああ、やっぱり」という気持ちになるようです。

一方、あまり気にしていないことが多い
 「上の歯がでている」=『上顎前突』
 「上下の前歯がきちんと噛んでいない」=『開咬』
の場合には検診のお知らせで初めて知る方がいらっしゃるようです。

虫歯などの指摘を同時に受けている時には、まず、かかりつけの歯科医院で虫歯治療の際に御相談になるとよろしいでしょう。早めに矯正を始めた方がよいという診断であれば、矯正治療を行っている歯科医院などの御紹介をいただけると思います。急ぐ必要がない場合には、定期検診の都度、噛み合わせをチェックしていくことになるかもしれません。

歯並び以外に指摘がない場合には、矯正相談を受けることになりますが、今までに矯正歯科とのおつきあいがない方 がほとんどです。どこの矯正歯科にかかるかは、迷うところでしょう。

NTTのタウンページなどで、矯正歯科の項を調べたり、ホームページで検索したり、またはお友達に相談したりして、矯正治療を受けられる医院を探されることになります。

まずは、予約の電話を入れて、医院の雰囲気を掴んでから、初回の受診をするかどうかを決め、予約をとって下さい。その際、初診時の費用についても確かめておかれると安心かと思います。

なかなか決められない時にはいくつピックアップして電話されても宜しいのですし、余裕があれば数カ所で相談を受けた上で決められてもいいのです。

矯正歯科の初診時の矯正相談については、こちらを御覧下さい。

6)要注意乳歯と言われたら

これは、永久歯との生え変わりが近くて、ぐらぐらしていたり、歯茎の色がピンクに透けて見えていたり、あるいはもう横から永久歯が生え始めていたりする歯のことです。要するに、生えかわりの仕方がちょっと心配な乳歯、そろそろ抜いた方がいいと思われる乳歯のことです。最近は、永久歯の歯並に影響しているような乳歯、レントゲン検査が必要な乳歯も要注意乳歯としてチェックしています。

特に永久歯が見えているのに乳歯が残っているような時には、自分で抜くのは難しいことが多いです。無理をせず歯科医院で抜いてもらった方がいいでしょう。あまり強い力で無理矢理抜こうとすると、乳歯の根が少し残ってしまったりすることもあります。少し動かしてみて、全然動いていないような時は早めに受診して下さい。

中には、そのままひとりでに抜けるまで放っておいても大丈夫なこともありますが、取りあえず、一度かかりつけの歯科医院で見てもらう方がよいかと思います。検診の時期と紙をもらった時期が離れていると、歯科を受診した時にはもう抜けているという事もあります。

7)早期発見・早期治療について

早期発見、早期治療というのは良く聞く言葉でしょう。

その疾患によって意義は違ってきますが、歯科の場合、早く見つけて治すことでそれ以上の進行を止められる場合が多く見られます。進行してしまった虫歯、「神経」に届いているようなもの、さらに進んで歯茎が化膿してしまったような場合、治療の期間も長くかかります。中には抜かなければならないことも有ります。もう少し早く来てくれていればと、内心思うこともあります。

一方では、小さな虫歯、虫歯になりはじめたばかりの時には、歯科医師や歯科衛生士の指導の元に丁寧な管理をすることで、削ったりせずにそのままの状態を維持できる事もあります。最近コマーシャルなどでも聞く、再石灰化を期待すると言う事です。

この早期発見・早期治療こそが、学校検診の本人にとってのメリットでしょう。

上手に検診の結果を利用して、健康のために役立てて下さい。

小さなお子さんが初めて歯科医院を受診する時は

初めて歯科を受診するお子さんは知らない場所にやってきて少し緊張しています。付き添っていらっしゃる保護者の方も少し不安でしょう。
そして、歯科医院のスタッフも、少し緊張した気持ちでお待ちしています。

初めての歯科受診の前に知っておくと役に立ちそうなことを少しピックアップしてみました

 1)初めての歯科
 2)予約の取り方
 3)受診の前に
 4)小児歯科治療
 5)衛生指導
 6)予防処置
 7)定期検診

1)初めての歯科

どんな時に初めて歯科にいくのでしょう

・歯科医院へ行く年令

何歳くらいから見てもらえますかと聞かれる事があります。

初めて歯科医院へ行く年令は、早い方で1歳前後です。もちろん全く歯科医院に縁のない状態で大人になる方もいらっしゃいますが、最近は虫歯のないお子さんのほとんどが、早くからなんらかの形で予防処置を受けているのではないでしょうか。

虫歯がないかどうかの検査、歯ブラシなどの指導、簡単な予防処置は、対象が幼いお子さんであっても十分可能です。

しかし、虫歯になった場合の治療を、嫌がらずに受けられるのは概ね三歳ぐらいから、恐怖心の強いお子さんの場合は4歳すぎになってようやくと言うことも少なく有りません。

・受診の理由

虫歯のために受診する方が、やはり一番多いのです。

虫歯に気がつくのは家庭の中でということもありますし、なんらかの検診~1歳半検診や、三歳児検診、幼稚園の歯科検診~で指摘されてと言う方もいらっしゃいます。

また、初めて歯科医院に見える時点で、既に痛みが出たり歯茎がはれたりといった大きな虫歯になっているお子さんもいます。

虫歯になる前に、と歯科検診や予防処置を希望して見える方もいらっしゃいます。早い時期から歯科医院で予防のためのプログラムに参加することで、お子さんに健康な歯を与えたいとお考えの家庭です。

数は少ないのですが、歯の外傷のために見える方も有ります。歯の外傷が起こりやすいのは、歩きはじめの1歳すぎから2歳くらいと、小学校に入るくらいの頃です。

そして、歯の形や数の異常ではないかなどの心配をしていらっしゃる方もあります。

・小児歯科の目標

患者さんの受診理由は様々ですが、小児歯科の目標はいつも、健全な永久歯列:健康な大人の歯並びです。

治療の方針は、その目標に沿って立てられます。治療の方針、治療の方法の説明をよく聞いてから治療を受けて下さい

2)予約の取り方

・歯科医院の選択

もちろん、電話の前にどこの歯科医院にかかるかを決めなければなりません。

兄弟がすでにかかっている子どもの治療をしてもらえる歯科医院があればそちらにかかられることになるでしょう。

お友達などにかかっている医院を聞いてきめるのも一つの方法です。

初めてのお子さんで見当がつかない時、お家の方の掛かり付けの歯科医院に御相談なさってもよろしいでしょう。その医院で見てもらえることもありますし、小さなお子さんは小児歯科の専門医に紹介して下さることもあります。

もし、見当がつかなければ、 NTTの電話帳で小児歯科の標榜医院を探す方法もあります。インターネットを利用する方法もあります。

【インターネットの利用】

◆全ての小児歯科がホームページを持っているわけでは有りませんが、歯科関係のリンク集、検索エンジンなどを辿っていくとたくさんの歯科医院のホームページが見つかります。お住まいの近くの歯科医院のホームページが見つかったら、目を通しておくとよいかもしれません。

http://itp.ne.jp/servlet/jp.ne.itp.sear.SCMSVTop
NTTのタウンページも最近はインターネット版があります

http://www.mmjp.or.jp/dental-surf/ds/index.html
歯科医院、歯科大学研究機関、関連企業、関連団体のリンク集

http://www.jpinfo.co.jp/me/index.ssi
メディカル電話帳
インターネット最大16万件
都道府県別、医療機関の電話帳
名称、住所、などから検索可能

http://home.hiroshima-u.ac.jp/pedo/jspd/default.htm

小児歯科学会のホームページ
学会認定医・専門医の名簿の掲載あり

・電話の前にメモを

 歯科にかかる人の、名前、年令、性別など 個人情報
 どんなことで困っているのか、何が心配なのか
 痛みが有る場合は、いつから、どんな時に痛いのか
 腫れが有る時は、いつから腫れているのか、排膿の有無
 予防処置の希望が有る時は、何を希望しているのか

などを簡単にメモしておきましょう。
電話で聞かれなくても、問診の際などに役立ちます。

・予約の取り方

家の人の都合の良い時間を告げて、歯科の受付の人に予約をとってもらいます。希望の日時が埋まっていることも有りますので、予めいくつか候補を考えておくといいでしょう。

緊急を要する場合はその旨を告げましょう。電話した医院ですぐに時間がとれない場合、対応できる機関を教えてもらえるかもしれません。

忘れがちな事ですが、家の人の都合ばかりではなく歯科にかかる子供の体調なども考えて予約をとります。食事の直後や、いつも昼寝をする時間などは避けた方がいいと思います。

この時間が機嫌がいいと言う時間を選んでおきましょう。

3)受診の前に

初めて歯科医院へ出かける前は、ちょっと緊張することでしょう。
受診の前、歯科医院にでかける前に注意してほしいことがいくつかあります。

これは、全く歯科医院のサイドからのお願いですが・・・。

とにかく歯科医院を怖がらせるような言動をとらないでいただきたい。これに限ります。

初めて歯科医院にやってくる子ども達の中には、最初からとても緊張している子がいます。

本当に小さな1~2才のお子さんは、知らない場所に来ただけでナーバスになっていますが、年令の高いお子さんにも、そのような様子が見られることがあります。

どうも、おうちの方や、お兄さん、お姉さん、お友達などから、
「歯医者さんは恐い場所」という情報を得ている様です。

歯科医院では、できるだけ小さなお子さんに怖がられないように配慮をしています。できるだけ、恐い場所と言う印象を与えないように、お家の方にも御配慮をいただきたいと思います。

4)小児歯科治療

さあ、治療のはじまりです。
小児歯科の治療ではどんなことをするのでしょう?小さいお子さんでも、治療の基本は大人と同じです。

・治療の方法

治療の方法は大人と同じです。
基本的に、虫歯になっているところを取り去り、何か他のものに置き換えます。
神経が死んだり感染したりしている歯は、中をきれいに洗浄消毒して、薬を詰めます。残しておくことが難しい歯は抜歯の対象になります。

違うのは、乳歯の治療は永久歯の事を考えながら行うことです。
永久歯に悪い影響を与えないように、永久歯の成長の状態を確認しながら治療の方針を決定します。

・恐怖心への対応

大人の方と一番違うのは、恐怖心への対応に十分配慮することです。
(大人の方でも、歯科が恐いために治療が受けられない方は、事前に歯科医師にその旨をつげて対応してもらいましょう)

小さなお子さんの場合程、恐い思いをしないように、説明の方法を工夫し、少しずつ治療の器具などに慣れる様トレーニングをしてから治療に入ります。しかし、どんな小さなお子さんでも、緊急を要する症状が出ているような場合は、歯科への恐怖心を取り除くまで待っていられないこともあり得ます。その場合は、どのようにして治療を行うか、担当医と保護者の間でよく話し合い、了解の上で行うべきでしょう。

できるだけ、初めての治療で、歯科に対する恐怖心を植え付けないように、どの小児歯科医も最善を尽くしています。

5)衛生指導

虫歯を治したらさようなら?治療が終わったら、まず、衛生指導を受けましょう。

治療が終わったらもう歯医者さんには行きたくないと、どなたも思われることでしょう。
けれども、できればもう一回予約をとって、もし時間が無ければ最後の治療の日に、これから虫歯にならないようにするための指導を歯科衛生士に受けて下さい。

・何故、衛生指導が必要なのでしょう?

今までと同じ歯ブラシの仕方、同じ食生活を続けていれば、また同じような虫歯ができてしまいます。

何が原因になって虫歯ができたのか、生活習慣をよく見直しをしましょう。歯ブラシの仕方は、歯科衛生士がお子さんの歯の状態に合った方法を教えてくれるはずです。

一般的に虫歯になりやすいところ、そしてそのお子さんによって次に虫歯ができそうなところがあります。それぞれのお子さんに合わせて、何に気をつければ良いのか、どのような清掃を行えば良いのか、よく教えてもらいましょう。

清掃の方法も歯ブラシだけではありません。担当医には聞きづらかったような事がありましたら、この時に歯科衛生士に相談されてもよろしいかと思います。日常生活で注意することなど、きめ細やかな対応が期待できると思います。

・衛生指導の実際

衛生指導は、年令の低いお子さんでは保護者の方への指導が主体になりますし、6歳くらいからは本人への指導と家庭でのチェックの仕方がポイントです。いつまでも大人が歯ブラシをしてやるわけにも行きません。少しずつ自分で管理できるような体制に移行して行きましょう。

そのうち、大人のチェックを嫌がる時がやってきます。その時にどのくらい自分で管理できるようになっているかで、思春期の歯周病や虫歯の状態が決まってきます。

・衛生指導を受けてみませんか?

虫歯の治療が終わった時、どんなに治療に協力的だったお子さんでも、また治療を受けたいとは思っていないはずです。おうちの方も、また歯科医院に通院したりしたくはないはずです。

治療が終わった時点が、もう一度虫歯になるかどうかの分かれ目です。
さあ、お子さんにとって良いことはどんなことか、よく考えて下さい。

6)予防処置

予防処置は受けましたか?予防処置ってなんでしょう?
歯科で行われる予防処置は、予防注射のような免疫を作るものではありません

・フッ化物の局所応用

よく耳にするフッ素塗布や、フッ素洗口がこれに当たります。
歯のエナメル質に作用して、溶けにくい性質の物質に置き換える作用があると言われています。

フッ素塗布を行ったから、決して虫歯にならないという保証はありません。虫歯になりにくくする効果は期待できますが、甘いものをたくさん食べていたり、歯ブラシを全くしなかったりすれば虫歯をさけることは難しいでしょう。

中には、フッ素の毒性を指摘する方もいますが、私どもは、歯科で局所応用するフッ素の濃度と量では問題は無いと考え、患者さんにもすすめています。現在は、多くの歯科医院で予防処置として勧められると思います。

最終的には、フッ素を使うかどうかは、御自身で判断することになります。不安を感じる方はインターネットにもたくさんの情報がありますので、お探しになってもよろしいかと思います。その結果、御自分のお子さんにはなさりたくない、とお思いになった場合は、主治医に率直にその旨をお伝えになってください。

虫歯予防の方法は一つだけではありません。フッ素を塗らなくても、家庭での食生活や歯ブラシの習慣によって虫歯を避けることは可能だと思います。

・シーラント

奥歯の噛み合わせの凸凹になった部分の溝の、一番深い部分まで歯ブラシを届かせることは、実は、不可能です。歯ブラシの毛先の方が、ずっと太くしか作られないからです。

ところが、生えてまもない奥歯は、この部分に虫歯を作ってしまうことが非常に多いのです。

そこで考えられたのか、シーラントという方法です。合成樹脂などの材料で、歯の溝を予め埋めてしまいます。そうして、歯ブラシの届かない場所をなくしてしまうわけです。もちろん、シーラントをしても、歯ブラシをしなければ、同じことです。

7)定期検診

虫歯の治療も終わり、予防処置も済ませて、歯ブラシの指導も受けました。でも、本当は定期検診も受けていただきたいのです。

・定期検診の意義:定期検診はなぜ行うのか?

子どもの虫歯は、乳歯の構造のためもあって、永久歯にくらべて進行が早い傾向にあります。また、大きくなるにつれて、歯の状態はどんどん変化をしていきます。その時の歯並びの状態によって、虫歯になりやすい場所も変わって行きます。

虫歯になった時、神経の処置が必要になる前に治療ができるようにするためには、早い時期に虫歯を見つける必要があります。検診の第一の目的は、虫歯の早期発見です。なんといっても、子どもの場合は歯科で治療を受ける原因のほとんどが虫歯です。

次に、予防を目的として行います。今、虫歯があるのか、ないのか、虫歯がなくても、今にもできそうな状態になっていないかを、チェックします。必要に応じて予防処置を行い、また、虫歯にならないための指導を受けます。

さらに、永久歯への生え変わりの時期には、歯並びに何か心配な点がないかを確認します。歯の数や、生えてくる位置などを確認し、矯正の必要が無いかどうかも見て行きます。

・健康保険の適応

虫歯の多いお子さんの定期検診は健康保険で行うことができます。
                        (H20.4.1現在)

すべてのお子さんが対象ではありませんが、現在、定期検診やフッ素塗布もも保険診療の対象となる場合があります。

本来、予防を目的とする診療行為は健康保険の対象外となっています。しかし、虫歯の多いお子さんの再発を防ぐ目的で、継続的な指導が保険にも導入されてました。ただ、すべてのお子さんを対象とするには、財源に限りがあるのでしょう。

今のところ、年令の割に虫歯が多いと思われるお子さんで、虫歯の治療が終了している方を対象に行われています。ですから、兄弟で同じ虫歯の本数なのに、上のお子さんは保険が使えず、下のお子さんは保険診療になるという事も起こり得ます。制度が煩雑で判りにくいかと思いますがルールとしてご理解頂きたいと思います。

また、小学生までのお子さんの定期検診についての特例もありますが、保険制度は複雑ですのでかかりつけの歯科医院でご相談下さい。

・定期検診の間隔

そのお子さんの虫歯の本数、現在の清掃状態、年令などを考えて、定期検診の間隔が決められます。

虫歯が多かった場合や、虫歯が少なくても歯ブラシが上手に出来ていない時は、少し短かめの間隔で、あまり虫歯などの心配が無い時は長めの間隔での検診を勧められると思います。少なくとも、半年に一回くらいは検診を受けることをお勧めします。

大人の方と違い、お子さんの場合は半年前とは口の中の状態ががらっと変わってしまうこともあるからです。

もちろん、検診の時期の前でも、心配なことが有る場合は、早めに主治医に相談して下さい。

それでは、お子さんが健康な大人の歯並びに育たれることをお祈りします。

虫歯予防の方法は

虫歯にならないためには どうしたらいいのでしょう?
歯科医院で勧められた予防処置の事をもっと良く知りたい!
毎日の生活の中で何に気をつければいいのでしょう?

そんな疑問にお答えします。

 1)フッ素を使う虫歯予防
 2)フッ素 Q&A
 3)家庭できるフッ素の応用
 4)シーラント
 5)歯ブラシ
 6)食生活
 7)健康って何?

1)フッ素を使う虫歯予防

1.フッ素塗布

予防処置としてもっともよく耳にするのがこのフッ素塗布ではないでしょうか?

フッ素には歯の成分と反応して、虫歯の原因となる細菌に由来する酸に溶けにくい化合物に置き換える作用があることが知られています。この働きを利用して、虫歯になりにくい性質の歯をつくるのが、フッ素塗布の目的です。

しかし、絶対に溶けない性質にする事はできませんから、歯の清掃状況が悪い場合は虫歯になることもあります。

フッ素塗布は、歯科医院、または集団検診の場などで行われ、通常3~4ヶ月おきに行います。

・フッ素塗布の方法

まず、歯の表面をきれいに清掃します。それからフッ素の塗布を行います。塗布の方法は、いろいろあります。

 歯並び全体を被う装置を使って数分間歯の表面にフッ素を作用させる方法。
 綿花を用いて、塗布する方法。
 歯ブラシやデンタルフロスを用いて塗る方法。

また、塗布に用いる材料にも、ペースト状、泡状、液体状などの様々な種類の物があります。

塗布の終わった後は、しばらくの間、うがいをしないように指事をうけると思います。

2.フッ素洗口

比較的濃度の薄いフッ素化合物の溶液を用いて、うがいをする方法です。1週間に一回程度の頻度で、学校、幼稚園などの集団または、家庭で行います。よく歯ブラシをした後で、歯の表面全体に行き渡るようにぶくぶくうがいをします。

2)フッ素 Q&A

フッ素について、不安を持つ方もいらっしゃいます。
フッ素に関してよく聞かれる疑問にお答えしましょう。

・フッ素って何?

フッ素は元素記号 F で表される元素です。自然界にもともと存在する元素で、どこにでも存在し、すべての生物に微量ですが含まれています。特に意識すること無く通常の生活の中で、飲料水、食物などを介して摂取しています。微量必須栄養素の一つと言われています。

・どんな作用があるの?

歯のエナメル質を虫歯になりにくくします。
飲料水中のフッ素濃度が高い地区、または水道水にフッ素の添加を行っている国などでは、歯が作られる時にフッ素の作用が発現します。

フッ素がエナメル質の結晶にとりこまれたフロオロアパタイトの生成、フッ素の存在下で起こる結晶性の高いハイドロオキシアパタイトの生成によって、エナメル質の耐酸性、耐溶解性が高まります。平たく言えば、歯ができる時に、虫歯になりにくい歯が作られると言うことです。

歯が生えた後で、フッ素を作用させた場合、歯の表面のエナメル質のアパタイトをフルオロアパタイトに変えて耐酸性を向上させます。また、洗口などで低濃度のフッ素を長期間作用させることで、エナメル質のハイドロアパタイトの結晶性を向上させます。

・本当に虫歯にならないの?

飲料水のフッ素の濃度を高めた場合、虫歯数が少なくなること、ウ蝕予防率が高くなることが知られています。また、フッ素塗布、フッ素洗口が継続的に行われた場合、虫歯の数が少なくなることも知られています。ただし、個人について考えた時、フッ素を塗れば決して虫歯にならないということではありません。

フッ素濃度が高い飲料水を摂取している場合、低い濃度の地区にくらべて虫歯が予防されているという事であり、フッ素塗布・フッ素洗口を行わなかった場合にくらべて、虫歯になりにくいということです。

フッ素を塗ったからと言って安心せず、家庭での虫歯予防を心掛ける姿勢が大切だと思います。

・害になるようなことは?

何かが決して害にならないなどと簡単に言い切ることはできません。フッ素の摂取量が継続して非常に多い場合、骨硬化症、斑状歯などの原因になることが知られています。一度に多量に摂取した場合、急性中毒症状として、悪心嘔吐などが起こり得ます。

但し、通常歯科で用いられるフッ素塗布剤の濃度と使用量では、このような事が起こる可能性はほとんどありません。また、通常の使用量でのフッ素洗口剤、フッ素いり歯磨剤についても同様です。

フッ素の水道水添加を行っている諸外国では、通常の飲料水などとしての摂取量から逆算して、フッ素添加の濃度を決めている様です。

この項につきましては、下記の書籍を参考文献といたしました。興味の有る方はご参照ください。

「フッ化物局所応用に関するガイドブック」

 日本口腔衛生学会 フッ素研究部編
 財団法人 口腔保険協会 発行
 ISBN4-89605-038-X 本体価格¥2400

3)家庭でできるフッ素の応用

フッ素は歯科医院でしか使えないのでしょうか?
いいえ、歯磨剤にフッ素入りの物を用いる、家庭でフッ素洗口を行う、といった方法があります。

低濃度のフッ素を継続的に長期間、歯の表面に作用させる方法です。

1.フッ素洗口

フッ素洗口は、学校・幼稚園などの集団生活の場で行われることが多いのですが、そのつもりが有れば、家庭で行うことも可能です。かかりつけの歯科医院で処方してもらい、薬局で洗口用のフッ素を購入します。

市販のミラノール(ビーブランド・メディコ・デンタルKK)が用いられることが多い様です。希釈して用いるものですから、使用の方法をよく確認して使いましょう。くれぐれもフッ素の濃度を間違えない様、気をつけて下さい。

2.フッ素いり歯磨剤

歯磨剤は、様々な製品が毎年のように新しく出てきます。何が入っているかは、箱に書いてありますから、成分をよく確認してから購入して下さい。

もともと、歯磨剤の主な目的は歯の表面の沈着物を取り除くことでしたから、研磨剤に相当するものが含まれているものがほとんどですが、中には発泡剤や研磨剤のようなものを使っていないものもあります。何を目的に購入するのか考えて選んで下さい。

4)シーラント

虫歯の予防法として、シーラントという方法があります。
シーラントってなんでしょう?

・シーラントについて

シーラントという耳慣れない言葉。御存じでしょうか?

奥歯の噛み合わせの構造奥歯の表面をよく見てみましょう。上下の臼歯が噛み合うところは凸凹してまるで複雑な山脈のようですね。この谷間になっている溝の部分が、生えて間も無い臼歯が虫歯になりやすい部分です。

・なぜ、溝のところから虫歯になるのでしょう

ちょっと考えても分かるように、凹みになっているところは汚れのたまりやすい部分です。

さらに、この溝は、目で見て分かる以上に深くまで達していることがあります。そんなに深くない時にも、歯ブラシの毛先の太さに比べると、溝の一番深い部分の方が、ずっと狭くなっているのです。

ですから、一生懸命歯ブラシをしていても、溝の奥深くまできれいにすることは、とても難しいのです。

・シーラントの目的

シーラントは、この溝の虫歯を防ぐために考えられた予防法です。まず、歯の表面を機械を使って清掃し、薬品を用いてさらに処理をしてから、溝をシール剤で埋めてしまいます。

シーラントには合成樹脂(レジンと呼ばれる)系統の材料と、セメントと言われる系統の材料の二種類が有ります。その歯の状態によって使い分けられることが多いと思います。

・シーラントの後

シーラントをすると、歯ブラシの届かないような狭い部分はなくなります。ただし、シーラントと歯の境目から虫歯になる可能性は残されています。

シーラントは奥歯の溝の歯ブラシが届かないところをなくしてしまうもので、虫歯に決してならない様な性格のものではありません。あくまで、歯ブラシによる清掃を助けるものとして、とらえてください。

5)歯ブラシ

虫歯予防処置をしたらもう虫歯にはならないのでしょうか?
いいえ、毎日の習慣が大切です

・歯ブラシについて

通常、予防というと、もうその疾患にかからないようになるイメージがあるようです。しかし、歯科における予防処置にそこまで望むことは難しいのが現状です。

せいぜい、体質改善とか、身体が丈夫になるといったイメージで捉えていただいた方がよろしいのではないかと思います。虫歯の原因となる要素は、「宿主=歯」「細菌=歯垢」「細菌の栄養=糖分」と考えられますから、まず、最初に「歯」に対してより虫歯になりにくい条件を整えたということです。さらに、日常生活で他の要素に対する方策をたてるというわけです。

最近は以前「成人病」と呼ばれていた疾患を生活習慣病と呼びますが、歯科の二大疾患と呼ばれる虫歯と歯周病のいずれも「生活習慣」に根ざした疾患と言って良いでしょう。

何よりも、日頃の生活の中で予防を心掛けることが大事です。具体的には何を食べるのか、食べた後どのようにしてきれいにするのか、です。

・虫歯になりやすいところ

虫歯になりやすい場所は、歯と歯茎の間・歯と歯の間・奥歯の噛み合わせの三ケ所です。汚れがたまりやすく、放っておくと汚れがとれない場所です。大抵の人の虫歯は、こういう場所から始まります。

また、その人の歯並びの状態によって、汚れやすいところ、虫歯になりやすいところが決まってきます。歯並びに凸凹がある人は、歯ブラシだけできれいにすることは困難です。他の人にくらべて、虫歯になりやすい傾向があります。

小さなお子さんの場合は、年令によって歯並びの様子が変化して行きますが、それに応じて虫歯になりやすいところが変わっていきます。同じ年令のお子さんが同じようなところに虫歯を作っているということは、よくみかけます。

歯ブラシは、この、虫歯になりやすいところを重点的に行いましょう。

・清掃の方法

清掃の方法は歯ブラシだけではありません。

歯並びがきれいな人は、歯ブラシだけでもそこそこきれいに磨くことができます。

しかし、歯並びに凸凹が有る場合は、デンタルフロスなどを併用しなければ、きれいにはできないかもしれません。

ブリッジを入れているような人や、歯の間にすきまがある人は、インターデンタルブラシと呼ばれる小さな試験管ブラシのようなもので、歯ブラシの届かないところをきれいにするといいでしょう。

矯正中の人は、矯正用の特殊な歯ブラシもありますので、かかっている医院で相談なさって下さい。

・歯ブラシの回数

毎食後に行うことが望ましいのですが、その人その人によって置かれている状況は違いますので、実行することは難しいかもしれません。少なくとも一日に一回は、しっかり時間をかけてきれいにしましょう。

虫歯の少ない人でも、一週間に一回くらいは、デンタルフロスも使って歯の間までしっかりきれいにしてみましょう。思い掛けないほど汚れていることもあります。

・歯磨剤について

歯垢を取り除くという目的からは、歯ブラシだけでも十分ではないかと思っていますが、歯に色素が沈着しやすい場合、フッ素を恒常的に応用したい場合などには、目的に応じた歯磨剤を用いられてもよろしいと思います。

・歯ブラシの効果

歯垢を取り除くことによって、虫歯以外にも歯周病の予防にもなります。歯垢が原因になっておこる口臭については、清掃によって改善が期待できますが、他の原因が有る場合も有るので、十分気をつけてきれいにしているのに口臭が指摘される場合は歯科医院などで御相談ください。

6)食生活

歯ブラシをしていれば虫歯にならないのでしょうか?

・食生活について

予防処置もしたし、毎日はブラシもしている。他にも気をつけなければならないことがあるなんて、とても大変かもしれませんが、毎日の食生活も大切な要素です。
続けて食生活についてお話します。

・砂糖について

砂糖の消費量が増えはじめる、と虫歯の発生率が上昇しはじめるということは、良く知られています。砂糖は美味しくて効率のよい栄養源ですが、それは人間にとってだけではありません。細菌にとってもごちそうだということです。

・甘いものの摂り方

同じ量の砂糖をとるのであれば、長い時間口の中に有る方が虫歯の原因になりやすいと思われます。口に含んでいる時間が長くなりがちなタイプの菓子、だらだらテレビを見ながら何かを食べている習慣、こういう事の積み重ねが虫歯の原因を作っていきます。

一定の量の菓子を、長過ぎない時間で、甘くない飲み物と一緒にとるのが、理想的な摂り方でしょう。できれば、市販のお菓子よりは果物のような食物繊維をたくさん含んだ物のほうがおやつとしては望ましいのですが。

現代の生活で全く甘いものを食べないことは難しいかも知れません。どのような形でとるのかを考えてみましょう。

母親ががんばって甘いものを制限していても、同居の祖父母からもらってしまうことや、父親がお土産に持ってかえったりする事もあるでしょう。なぜ制限しているのか、何が可哀想なことだと思っているのか、なんとか分かってもらいたいものです。

家庭の中では問題がなくても、子どもが大きくなり行動半径が広がると、よそのお宅でお菓子をごちそうになってしまうこともあります。同じような考え方のお宅ばかりとは限りません。せっかくご好意でごちそうしていただいたものを、とがめだてするようなことはできないでしょう。

歯ブラシを厳密にするなどの方法で、乗り越えられればと思います。

・虫歯の原因とならない甘味料

最近脚光をあびたキシリトールなどのように、甘味はあるが虫歯の原因とならない甘味料もあります。市販のお菓子を購入する時には成分についても御一考ください。

7)健康って何?

健康な生活ってどんな生活だと思いますか?
虫歯だけにこだわらない健康な生活を送って下さい。

子育てに熱心になる余り、ほんの小さな一点の針の先ほどの黒くなった虫歯にも、すっかり意気消沈してしまう方がいらっしゃいます。けれども、毎日元気に楽しくすごしているのなら、極端な話、一本や二本虫歯が出来たくらい、どうということはないのではないでしょうか?

健康な状態と言うのは一点の傷もなくぴかぴかの状態のことなのでしょうか?楽しく美味しい食事を楽しむことができて、毎日が充実していることも方が、大切ではないのかしら、と思うことがあります。

真面目な性格のお母さんは、完璧な子育てを目指して、少々行き過ぎてしまうこともあるようです。お子さんの人生をしっかり支えることができるような、トータルな意味での健康を授けてあげられたらいいですね。

どこか一点にばかり集中してしまうと、往々にしてどこかに歪みを生じてしまいがちです。無理をさせていないかしら、と時には立ち止まられるだけの余裕があってほしいものです。これは、虫歯だけに限ったことではないのではないでしょうか。

子どもが大人になるまでには長い時間が必要です。ゴールははるか彼方です。ある時点で虫歯が一本もない子どもであることよりは、自分の健康を自分で管理し、充実した生活を送られる大人に育つことの方が大切ではないのだろうかと、思うのです。いつまでも、親の管理下に置いておく事は不可能なのですから。

みなさんの健康な生活はどんな生活ですか?

様々な治療法

口臭が気になる

口臭に悩んでいらっしゃる方のために口臭についてご説明いたします

 1)口臭の原因
 2)口臭の予防法
 3)口臭の検査

について御説明しましょう。

1)口臭の原因

・歯垢・歯石 

歯垢は歯の表面に付着した沈着物で長時間経過すると歯石となります。歯垢の中の最近が増殖し硫化物を生成し臭いを発生します。

・唾液の分泌低下 

唾液の分泌が少ないと細菌が増殖しやすくなります。
睡眠中は分泌が極端に低下します。また、ストレスなどで緊張した状態が続くと口が乾き、口臭の原因になる事があるようです。

・鼻疾患・胃腸障害 

口臭を伴うことがあります。

・自臭症 

口臭がないのに、あると思い込んでいる場合もあります。まず、口臭があるかどうかを確かめてみましょう。

また、周りの人が気が付かない口臭を自分だけが気にしているという事があります。

口を開けると広がって消えてしまう程度の口臭でも、気にして口を開けないように気をつけていると、臭いが鼻に抜けて自分だけは判ると言う事があるようです。

2)口臭の予防法

口臭を予防するにはどうしたらよいかについて説明しましょう。

ブラッシングによって歯垢の付着を防ぐことが、最も効果的な方法であり、臭いの元となる細菌の増殖を抑制することで口臭予防になります。

歯磨き粉には香味剤が含まれているので、一時的には有効です。ただし、磨けたつもりになることが多いので正しい磨き方を身につける必要があります。

さらに定期的に歯科医院で歯石を除去し、細かいところのクリーニングを行うと良いでしょう。

また、口の中以外のところに口臭の原因がないか確かめその対処をすることも大切です。

3)口臭の測定

ところで、口臭を測る方法があるのを御存じですか?口臭測定器という装置があります。 自分の口臭をしることは難しいことです。気にしている人は案外口臭が少なくて、気にもしていない人に限って周りの人を困らせているかも知れません。

林歯科は口臭測定器ハリメーターを導入し、本当に口臭があるかどうかを確認しています。

HALIMETER

口臭の原因は揮発性硫化化合物であると言われています 。
これまでの研究によって、揮発性硫化化合物(VSC)と呼ばれる硫化水素、メチルメルカプタン、硫化ジメチルなどが、口の臭いの 元となっていることが解明されています。

ハリメーターはそのVSC検出に威力を発揮し、より効果的な口臭治療を患者さんにお届けできます。

口臭チェックの前の注意事項

# 6時間は歯磨き、フロス、マウスリンスをしない
# 6時間は食べ物、飲み物を取らない
# 12時間はニンニクを食べない
# 12時間はアルコールを飲まない
# 1週間は抗生物質を飲んでいない。

口臭測定装置の使い方

1.スイッチを入れる
2.数値が安定するまで一分程待つ
3.ストローを機械のチューブに差し込む
4.ストローを6cmほど口の中に入れ、舌の上に置く
5.5~6秒息を止める
6.メーターの数値がほぼ安定したら数値を読みとる
7.換算表を用いて口臭の度合を調べる
8.スイッチを切る

このようにして口臭の測定を行います。

口臭測定の結果、口臭がある人を対象に歯科的な口臭予防を行います。ただし、原因が他のところにある事が疑われる場合はこの限りではありません。

4)口臭に関するリンク集

口臭治療の権威
本田俊一先生の医院のホームページ

歯の色を白くするには

白い美しい歯にしたいという気持ちは、今、ますます広まってきています。

歯の色が変わる原因、歯を白くしたい理由にはこんなものがあります。

1)歯に、色の原因になるものが沈着している。
2)歯髄(いわゆる神経)が壊死して、その色が透けて見える
3)歯が歯茎の中で作られる時に何かの原因で歯の色が変わった
  または、もともとの歯の色の黄色みが濃い
4)以前に入れた白い人工の歯の色が変わってしまった
5)奥歯の金属の冠の色を白くしたい
6)白いものを詰めたのに色が変わってしまった 

変色の原因や、白い歯にしたい理由によって治療の方法は異なります。
原因別に、治療方法のご説明をします。

1)色素沈着

何かが歯についているために歯の色が変わっている時には元の色に戻すことです。

1.自分で綺麗にする

毎日の手入れである程度白い歯を手に入れることができます。

いろんな白い歯にするための歯磨剤がでていますので、ためしてみられてはいかがでしょうか?ただし、乱暴な使い方をすると、歯がすり減ってしまう事もあります。十分注意して下さい。

2.プロの技術で綺麗にする

毎日の手入れを頑張っていても、行き届かない所はでてきます。年に一、二回の歯科医院でのお手入れで、隅々までぴかぴかにすることができます。歯科医院には様々な器具、材料が揃っていますし、歯科衛生士は歯を美しい状態に戻すためのテクニックを身に付けたプロフェッショナルです。どうぞ、かかりつけの歯科医院で御相談下さい。
ただ、残念ながら、美しくするための歯冠研摩は保険の対象外となります。

2)歯髄壊死

神経が壊死している時、その色が、ちょうど青あざのように青黒く透けて見えます。そのようが場合は、まず根の治療が必要となる場合があります。

1.冠を被せて治す

必要に応じて神経の治療を行い、冠を被せることで、白い歯に治す方法です。
虫歯などが原因となっており、歯があまり残っていない時に行われます。比較的多く行われる方法です。

2.歯の中から白くする

神経を取った後に中から漂白して白くする方法です。

歯をぶつけた後しばらくしていつの間にか神経が壊死し、気が付いたら歯が青黒く変色している事があります。このような場合は、歯がほとんど残っている事が多いので、削って被せる事はせずに中から白くする事があります。

この方法で直せる歯は限られています。

3)もともとの歯の色

テトラサイクリン症などによる変色や、何らかの理由で歯が作られる過程で変色が起こることがあります。

また、異常ではないのですが、最近は歯の色が黄色みが強いので、より白い歯にしたいと言う方もいらっしゃいます。

1.ラミネートベニア

歯の作られる過程で、歯そのものの色が変わっている場合には表面をいくら磨いても白い歯にはなりません。しかし、虫歯などが原因ではありませんので、歯を大きく削る必要はありません。

表面を一層削って、その部分を白い歯の形に作られた薄いセラミックスで覆うことで白い歯を手に入れることができます。

保険外治療です。

ラミネートベニア治療

2.漂白

磨くのではなく、歯の表面を漂白する方法があります。

薬剤を歯の表面に作用させて少しずつ色を白くしていきます。
ラミネートベニアの様にすぐ白い歯になるわけではありませんが、歯を削ることに抵抗がある人には、適しています。

・歯科医院で行う方法(オフィスホワイトニング)
・自宅で少しずつ行う方法(ホームホワイトニング)
の二つがあります。

残念ながら、この二つの治療法はどちらも保険診療の適応にはなりません。

4)以前に入れた人工の歯の色の変色

白い歯に治した冠の色が変わってしまうことが有ります。
残念ですが、冠を入れ直す以外には白さを戻すことは難しいでしょう。

白い歯にするための冠は材料によって大きく二つに分けられます。

1.合成樹脂を用いて作られた補綴物(冠)

レジン前装冠・硬質レジンジャケット冠・レジンジャケット冠など

主として保険診療で用いられる合成樹脂を用いた冠は、次第に樹脂が様々な色素に染まって変色してしまう事が多く見られます。このような冠はまた変色を生じる可能性があります。

2.陶材を用いて作られた補綴物(冠)

セラミッククラウン・メタルボンドクラウンなど変色の少ない陶材を用いた冠は、丈夫でもあり、天然歯に近い自然な色調を長く保つことが可能です。但し、残念ながら保険給付の対象とはなりません。

どちらがいい、とは一概には言えませんが、 治療費等についてもよく歯科医院で確認の上、治療法を選択されるとよろしいでしょう。

5)奥歯の金属の冠の色を白くしたい

金属の冠を被せていた奥歯を白い歯にするにはどうしたらいいのでしょう?
4)の項で説明した、陶材を用いて作られた補綴物(冠)セラミッククラウン・メタルボンドクラウンなどで直す事になります。

金属の冠を被せていた奥歯を白い歯にすることは、原則として保険給付の対象外です。笑った時に銀歯が見えるのが気になる場合などは保険外の白い冠を選択されることになります。

ただし、白くするためには有る程度冠の厚みが必要です。あまり薄いとセラミックスが割れやすくなります。
歯の噛み合わせの状態によっては、白い冠をいれるのが難しいこともあります。

6)詰めた白いものの変色

 

詰めて白い歯にしたのに、いつの間にか黄ばんでいるのに気付く事があります。

合成樹脂や白いセメントを詰めて虫歯の穴の後を白い歯にしたのに、いつの間にか変色したしまったらどうしたらいいでしょう。

1.つめ直しをする

残念ですが、詰め直してもらいましょう。

白い歯にするために合成樹脂やセメントで詰めた場合、往々にして時間が立つと変色が起こってきます。材料の改良で段々長い時間変色せずに保たれるようにはなっていますが、一度変わった色は、詰め直しをしなければ白くはならないと思われます。

また、変色と同時に材料の劣化が起きている可能性もありますし、歯の間から虫歯ができているのが透けて見えている事もあります。

2.セラミックインレー

奥歯の白い詰め物の変色を防ぐ方法としてはセラミックインレーと呼ばれる陶材の詰め物をする方法がありますが、これも残念ながら保険の対象とはなりません。

最近は、より破折しにくいハイブリッドセラミックスと言うセラミックスと合成樹脂のよいところを合わせた材料もあります。

 

このように、白い歯にするためにはその原因や動機によって様々な方法があります。残念ながら審美的な欲求にこたえるための治療は多くの場合保険給付の対象外です。治療法や金額について良く説明してもらい、メリットでメリットをよく考えて、治療の方法を選択して下さい。

虫歯などで「神経」をとった後にどんな治療をするのですか

良く聞く「神経をとる」という表現。
神経とは何か。神経をとった後にどんな治療をしているのか、簡単にお話しましょう。

 1)いわゆる神経ってなんでしょう
 2)「神経をとる」のはこんなときです
 3)神経=歯髄を取った後の治療
 4)神経が入っていた穴=歯髄腔を閉鎖する処置
 5)神経を取った後に噛めるようにする治療

1)いわゆる「神経」ってなんでしょう?

こんな絵を見た事は
ありませんか?

中のピンクの部分が
いわゆる「神経」です。

・神経って?

よく、歯の治療で神経をとると言った表現を聞くと思います。
「神経ってなんだろう」 と思ったことはありますか?
歯の外側は硬い組織ですが、その中には歯髄と言われる軟組織が入っています。

この中には血管や神経などがあります。この組織は、歯の感覚や栄養を司っています。「神経」と呼んでいるのはこの軟組織の事です。

・大きな虫歯になると

「神経」にも細菌感染が起こり、強い痛みが起こることが有ります。また、そのまま放置すると、「神経」が壊死したり、歯の根の先に炎症を起こしたりすることもあります。

・神経をとるというのは

細菌感染が進んで行くと、壊死した「神経」はもとに戻らなくなります。この組織を除去して行う治療を「神経をとる」と表現しています。

2)「神経をとる」のはこんなときです

では、どのような症状の時、「神経」をとるのでしょう?

・神経が細菌に感染した時 

このような場合、
暖かい物や甘い物がしみたり、何もしていないのにずきずき痛んだりします。

「神経」が細菌に感染し、炎症の症状が表れていると考えられます。

虫歯の大きさは、歯髄腔と呼ばれる「神経」の入っている場所に及んでいます。

・歯の周囲の組織に炎症が及んでいる時

細菌に感染した状態で放置すると、「神経」は壊死してしまい、歯の根の先から周囲の骨に炎症が広がって行きます。

炎症は次第に広がり、骨の吸収を起こして行きますが、ふだんは重苦しい感じがしたり咬むと嫌な感じがする程度です。

ある日、急に痛みや歯茎の腫れ、歯の動揺、頬の腫れといった急性症状を呈することもあります。

レントゲンをとると、根の先に病巣が出来ていることがわかります。

・神経が壊死した時

虫歯ではなく打撲などが原因で「神経」の壊死が起こることがあります。細菌感染がない場合、強い症状が表れることは稀ですが、次第に歯の色が黒ずんできます。

放置すると歯の周囲に炎症が広がることがあるので、このような場合にも「神経」をとることがあります

3)神経=歯髄を取った後の治療

続けて 神経を取った後の治療について説明します

歯科医院で「神経を取りましょう」と言われると、ちょっと悲しい気持ちがしませんか。

神経を取った歯は、健康な歯と全く同じ状態とは言えません。
けれども、神経を取った後も、できるだけ長く今までと同じように噛めるように、最後まできちんと治療を受けて下さい。最後まで治療を終了させずに放置すると、歯の周りの組織に細菌感染、炎症が広がって行く可能性があります。

・機械的にきれいにする

歯の中には「歯髄腔」と呼ばれる空間があります。この中には健康な状態では歯髄(=いわゆる神経)と呼ばれる軟組織があります。細菌に感染したり壊死をしたりした歯髄はまず、機械的に取り除かれます。

様々な器具を用いて、歯髄腔の中の歯髄を除去し、空洞にします。この時、軟組織を根の先から押し出さないように慎重に行う必要があります。また、最終的に歯髄腔を閉鎖する必要がありますので、その際の治療が行い易い形態に整えておきます。

・消毒する

細菌を取り除くためには、機械的にきれいにするだけでは足りないと思われます。消毒作用のある薬品を用いて洗浄をしたり、歯髄腔に数日間塗布して経過を見たりします。消毒が十分に行われ、症状がなくなった時点で、歯髄腔を閉鎖する処置に移ります。

最近はレーザーや高周波治療器を用いて、熱、電気の作用で消毒する事もあります。

4)神経の穴=歯髄腔を閉鎖する処置

歯の根の中がきれいになったら、空洞を閉鎖する治療に移ります。
根の先まで緊密に閉鎖し、細菌は入ることが無いようにします。

・閉鎖する材料

材料にはいろいろな種類がありますが、根の先から外に漏れないように、また、空洞のなかに隙間が残らないように丁寧に充填されます。

生体に為害性のない材料で、このような操作に適した材質のものが用いられます。ガッターパッチャと言う天然素材を基にした材料がよく使われます。

・レントゲンの撮影

通常、このような処置が終わった後にはレントゲンの撮影を行い、緊密な閉鎖が行われたかどうかを確認します。もし、不足が有った場合には再度充填を行うことになります。

・治療の後の痛み

歯髄腔の閉鎖を行った後、1、2日浮いたような感じや、咬んだ時の不快感があることが有りますが、通常しばらくでおさまります。これは、根の先まで薬をつめたために圧力が加わっているためと思われます。もし、痛みが無くならないようで有れば、再度根の治療をやり直さなければならないかもしれません。

・神経の治療の後

このままでは、今までのようにものを咬むことはできませんから、もう一度、今までのような形に治さなければなりません。

5)神経を取った後に噛めるようにする治療

神経の治療を終えてもそのままでは咬むことができません。もう一度、虫歯になる前の形にしなければなりません

・冠をかぶせる治療

普通、神経の治療が必要な歯は虫歯などで元々の歯の形が損なわれています。そこで本来の歯の形に戻すために、冠を被せます。

ところが、神経の処置をした歯は、次第に乾燥し脆くなっていきます。この様な歯に力がかかっても大丈夫なように中心に心棒になる金属の土台をいれます。その上に歯の形をした冠を被せます。

保険診療では糸切り歯までの前歯は合成樹脂を用いて白い外見に、それより奥の歯は金属の歯に治すことになっています。

保険外診療では材料の制限はありませんから、奥の歯でも白い陶材の歯にすることができます。

但し、その人の歯並びの状態によっては、奥歯を白い歯にするだけの厚みがとれないこともあります。冠を被せる治療に移る前に、担当の歯科医師と良く相談して、どのような冠を被せるのかをきめて下さい。

・冠をかぶせない治療

虫歯以外の原因で神経が壊死し、歯の外側がほとんど損なわれずに残っている場合や、まだ歯並びの出来上がっていない非常に若い時期に神経の処置を行った場合には、冠を被せない場合もあります。

歯が残っている場合には、神経の治療に必要な最小限の量の歯を削って治療を行い、その部分に何かを詰めて終わることになります。また、噛み合わせが出来上がっていない時は、歯が生え揃うまでの期間、暫定的に何かを詰めて、歯並びの完成を待つことになります。

詰めるものには、色々な材料がありますが、合成樹脂、アマルガム、金属などを用います。

どちらの場合も、歯が欠けてきた様な時には、冠を被せる治療に移っていきます。また、暫定的に詰めたものは、最終的には冠を被せる予定ですから、定期的に噛み合わせの状態のチェックを受けて、適切な時期に冠を被せてください。

神経の治療が終わった歯は、神経の生きている歯とは色々違うところが有ります。何か気になる症状がある場合には、早めに歯科医師に相談して下さい。

矯正歯科

歯並びが悪いかどうか気になり、矯正をするべきか悩んでいます

歯並びについて学校検診等で指摘を受けたり、長い間気にしていたりする方がたくさんいらっしゃいます。
まず、歯並びについてどのようにとらえるかをお話します。

歯並びが気になった時どうなさいますか?

 1)個性と考える場合
 2)歯並びが悪いとどういうことが起こるのか
 3)歯並びの治し方

矯正をすべきかどうかお悩みの場合次のような事を考えてみて下さい。

1)個性と考える場合

全ての人が同じような歯並びをしていなければならないというわけではありません。
個性であると考えるのであれば無理に歯並びを直す必要はありません。

ただ、歯科医療に携わる立場としては、個性と言っても程度によっては次のような事が起こりうることを知っていてほしいと思います。

2)歯並びが悪いとどういうことが起こるのか

現在の学校検診などでは歯並びの状態のチェックが行われています。歯並びが悪いとどんなことが起こるのかについて簡単に御説明して置きましょう。

まず、歯並びに凹凸が有る場合、凹みになっているところは汚れがたまりやすくなります。虫歯になりやすかったり、歯肉炎になりやすかったりする原因になります。

噛み合わせによっては、1本の歯に強い負担がかかり揺れている事もあります。

また、歯並びによっては、物を噛み切りにくかったり、咀嚼するのがうまく行かなかったりすることもあります。
中には発音に影響をおよぼす場合もあります。
人によっては見た目がとても気になることもあると思います。

このような困ったことが何かある場合には、歯並びの治療を考えられてもよろしいかと思います。

3)歯並びの直し方

歯並びの治療には、いろいろな方法があります。

歯並び全体を再構築する矯正治療という方法もあれば、気になる部分のみに短期間で冠をいれることで外観を変えてしまう方法もあります 。

それらの方法では、どうしてもきちんと噛めないような噛み合わせに対しては、顎の骨に対して外科的なアプローチを行う方法もあります。

その人の歯並びの状態にあわせた治療が必要です。どのような治療、どのような装置の使用になるかは相談してみなければわかりません。

もし、歯並びに気になる点があるのでしたら、まずは矯正相談を受けてみて下さい。

歯並びが気になる時の相談の仕方はどうすれば

夏休みの前までに多くの学校、幼稚園などで歯科検診の結果のお知らせをいただくと思います。
折角受けた検診を上手に利用しましょう。

 1)学校検診でもらう紙のチェックポイント
 2)学校検診の意義と限界
 3)虫歯があると言われたら
 4)歯肉に炎症が有ると言われたら
 5)歯並びが悪いと言われたら
 6)要注意乳歯と言われたら
 7)早期発見・早期治療について

1)学校検診でもらう紙のチェックポイント

現在の学校歯科検診では次のような点をチェックしています。まず用紙をよく見てみましょう。

1. 虫歯の有無

今お子さんを育てている方の子供時代にも、もちろんあったと思いますが、虫歯の状態のチェックです。学校によって記載方法がちがうのですが、乳歯、永久歯にわけて、治療の必要な虫歯の数が記入してあることが多いようです。

2. 歯肉の状態

最近では、子供の歯肉炎の有無もチェックされています。

大人の歯槽膿漏のような重症なものはまずありませんが、歯ブラシがゆきとどかない状態が長く続いている場合が多い様です。また、次にのべるような歯並びのでこぼこが原因で上手に磨くことができずにいることもあるようです。

3. 歯並びの状態

日本人の歯並びは次第に悪くなっているのではないかとマスコミでも取り上げられることが多くなってきたように思います。学校検診でも、歯並びの状態のチェックが行われています。

最近増えていると言われているのは、歯並びの凸凹ですが、

これ以外に、
 下顎がでている反対咬合   下顎前突、
 いわゆる「出っ歯」の、   上顎前突
 上下の歯が噛み合っていない 開咬
などがあります。

4. 生え変わりの時期の乳歯

生え変わりの時期がきている乳歯が要注意乳歯などとチェックされていることがあります。大人の歯が生えてもきちんと抜けていない時などは歯科で診てもらうといいでしょう。
検診の用紙をよく見てから、かかりつけの歯医者さんにおでかけください。

お子さんの口の中と見比べて疑問に思うことがあったら担当医に御質問ください

2)学校検診の意義と限界

検診の用紙をもらって歯科医院に行くともらった用紙と歯科で言われた虫歯の本数が違っていたということはありませんか?

・学校検診の限界

学校検診は、体育館や空き教室を利用して、短時間で多くの生徒さんの口の中を検査します。口の中を見るためのライトは簡単なものですし、採光のよい部屋とは限りません。多くの場合は、歯科の診療室と違い少々うすぐらい場所での検診となります。

歯並びや、歯肉の状態、大きな虫歯の有無はわかりますが、歯の間のできかけの虫歯を見つけるのは大変難しくなります。

従って、歯科医院で検査してもらうと、「他にも虫歯がありますね」と言われるケースも出てくるのだと思います。逆に、虫歯として指摘されたけれど、歯科医院ではこのまま治療せずに見て行きましょうと言われる場合も有ります。

ではなぜ学校検診を行うのでしょうか?という疑問も出てきます。

・学校検診の意義

なぜ、と言われると困ってしまうのですが、これは私の私見としてお話します。

一つは、虫歯の有無などをある程度チェックすることで、早期治療に結び付けること。また、放置されている大きな虫歯等が見のがされることはまずありませんので、早期発見ではありませんが、それ以上の進行を食い止めることはできると思います。

もう一つの意義としては、学校、市町村、または国単位での検診結果を集計することで、現在の子どもたちがどのような虫歯の状態に有るかを把握し、これからの行政の対応を決める資料になるのでしょう。

では、検診で虫歯を指摘されたらどうしたらいいのでしょうか?

3)虫歯があると言われたら

学校検診で虫歯の指摘をうけたら、まず、検診の用紙で虫歯の本数をチェックしましょう。小さなお子さんではおうちの方がチェックを、親が見るのを嫌がるようになったら本人に鏡を使わせて虫歯の状態をチェックしましょう。

だいたいどの虫歯の事を言われたのか見当がつくと思います。虫歯が大きくなっている時には、急いで歯科医院の予約をとりましょう。
もし、どこに虫歯があるかわからないようであればそれほど大きな虫歯ではないはずです。あまり急がなくても大丈夫ですが、痛みなどの症状がなくても歯科医院で検査をしてもらうことをお勧めします。

検診で虫歯の指摘を受けても、生え変わりの時期が近い乳歯は処置をせずに観察の対象になる時もありますし、永久歯の虫歯でも小さなものは急いで治療をせずきちんと清掃をすることで現状を維持できることもあります。かかりつけの歯科医院でよく相談してみましょう。

また、検診で指摘を受けていなくても、歯科医院で見てもらうと歯の間などの隠れた虫歯が発見されることがあります。歯の間の虫歯は外から見えなくても大きくなっていることがあります。レントゲン検査等の結果、治療が必要と言われた時は、よく説明してもらってから治療してもらいましょう。

4)歯肉に炎症が有ると言われたら

『まだ子どもなのに歯肉が腫れていると指摘されました。そういうこともあるのでしょうか?』このようなご質問を受ける事もあります。小学生なのに歯肉に炎症が有ると言われる場合もあります。

1.小学生の場合

小学生で歯肉の状態が悪いと言われると、『子どもなのにまさか!?』と思われる方が多いのではないでしょうか?

大人の方のいわゆる歯槽膿漏のような重症なものはまず見られませんが、学校検診に行くと歯肉の状態があまり良くないお子さんをみかけます。多くの場合は、あまり歯ブラシが上手にできていないようです。早くも歯石がついていることもあります。

歯並びの凸凹があるお子さんは、どうしてもへこんでいるところの状態が良くないように思います。時々チェックしてあげるといいでしょう。

歯科医院で相談すれば、歯科衛生士さんに上手な歯ブラシの仕方を教えてもらえます。歯石がついている場合はきれいに清掃してもらいましょう。お子さんの歯肉の炎症は、きちんと歯ブラシすれば比較的短期間で治ってしまいます。

2.中学生の場合

子どもの虫歯は少しずつ減少してきていると言われています。しかし、小さい頃はおうちの方に仕上げ磨きをしてもらい、小学校の頃は言われた通りきちんと磨いてきて虫歯の少なかった人が、中学くらいからすっかり歯ブラシをしなくなってしまうこともあります。

歯科医院の側としては、『あら、この子が?』と思うようなことがあり、がっかりしてしまいます。

けれども、もう小さい子どもではありません。自分で納得しなければ、毎日の習慣として歯ブラシを続けることは難しくなります。しかし、ここでしっかりした習慣を身につけないと、早い時期に歯槽膿漏になってしまう可能性があります。本人も若い内に入れ歯を使うようにはなりたくはないはずです。

中学生の歯肉の炎症が指摘された場合には、かかりつけの歯科医院でよく話してもらいましょう。歯肉の汚れがどんな結果につながるかを、まず、本人に理解してもらうことが必要です。

5)歯並びが悪いと言われたら

色々な形の歯並びの不調和があります。本人も、おうちの方も気にしていなくても歯科検診で指摘を受けることがあります。まず、かみ合わせを見てみましょう。

今まで気にしていなかった場合、少しショックかもしれませんが、多くの場合は何らかの歯並びの不調和があるはずです。

分かりやすい不調和である「受け口」「乱ぐい歯」の場合には、早くから気にしている方が多いので、お知らせの紙で指摘をうけると「ああ、やっぱり」という気持ちになるようです。

一方、あまり気にしていないことが多い
 「上の歯がでている」=『上顎前突』
 「上下の前歯がきちんと噛んでいない」=『開咬』
の場合には検診のお知らせで初めて知る方がいらっしゃるようです。

虫歯などの指摘を同時に受けている時には、まず、かかりつけの歯科医院で虫歯治療の際に御相談になるとよろしいでしょう。早めに矯正を始めた方がよいという診断であれば、矯正治療を行っている歯科医院などの御紹介をいただけると思います。急ぐ必要がない場合には、定期検診の都度、噛み合わせをチェックしていくことになるかもしれません。

歯並び以外に指摘がない場合には、矯正相談を受けることになりますが、今までに矯正歯科とのおつきあいがない方 がほとんどです。どこの矯正歯科にかかるかは、迷うところでしょう。

NTTのタウンページなどで、矯正歯科の項を調べたり、ホームページで検索したり、またはお友達に相談したりして、矯正治療を受けられる医院を探されることになります。

まずは、予約の電話を入れて、医院の雰囲気を掴んでから、初回の受診をするかどうかを決め、予約をとって下さい。その際、初診時の費用についても確かめておかれると安心かと思います。

なかなか決められない時にはいくつピックアップして電話されても宜しいのですし、余裕があれば数カ所で相談を受けた上で決められてもいいのです。

矯正歯科の初診時の矯正相談については、こちらを御覧下さい。

6)要注意乳歯と言われたら

これは、永久歯との生え変わりが近くて、ぐらぐらしていたり、歯茎の色がピンクに透けて見えていたり、あるいはもう横から永久歯が生え始めていたりする歯のことです。要するに、生えかわりの仕方がちょっと心配な乳歯、そろそろ抜いた方がいいと思われる乳歯のことです。最近は、永久歯の歯並に影響しているような乳歯、レントゲン検査が必要な乳歯も要注意乳歯としてチェックしています。

特に永久歯が見えているのに乳歯が残っているような時には、自分で抜くのは難しいことが多いです。無理をせず歯科医院で抜いてもらった方がいいでしょう。あまり強い力で無理矢理抜こうとすると、乳歯の根が少し残ってしまったりすることもあります。少し動かしてみて、全然動いていないような時は早めに受診して下さい。

中には、そのままひとりでに抜けるまで放っておいても大丈夫なこともありますが、取りあえず、一度かかりつけの歯科医院で見てもらう方がよいかと思います。検診の時期と紙をもらった時期が離れていると、歯科を受診した時にはもう抜けているという事もあります。

7)早期発見・早期治療について

早期発見、早期治療というのは良く聞く言葉でしょう。

その疾患によって意義は違ってきますが、歯科の場合、早く見つけて治すことでそれ以上の進行を止められる場合が多く見られます。進行してしまった虫歯、「神経」に届いているようなもの、さらに進んで歯茎が化膿してしまったような場合、治療の期間も長くかかります。中には抜かなければならないことも有ります。もう少し早く来てくれていればと、内心思うこともあります。

一方では、小さな虫歯、虫歯になりはじめたばかりの時には、歯科医師や歯科衛生士の指導の元に丁寧な管理をすることで、削ったりせずにそのままの状態を維持できる事もあります。最近コマーシャルなどでも聞く、再石灰化を期待すると言う事です。

この早期発見・早期治療こそが、学校検診の本人にとってのメリットでしょう。

上手に検診の結果を利用して、健康のために役立てて下さい。

矯正治療の具体的な方法・装置の種類・注意事項って

矯正相談が終わり、診断結果も確認しました。矯正をしようと決めたら、三回目の約束をとります。
三回目の矯正治療は、装置のセット。ついに矯正治療の開始です。
この日までに、必要な虫歯の治療、抜歯などは終わらせましょう。

 1)どんな装置を使うのか
 2)装着後の痛み
 3)装置の故障
 4)装置が恥ずかしい時
 5)装置装着後の清掃

1)どんな装置を使うのか

どんな装置を使うのでしょう?どんな装置があるのでしょう?
矯正治療で使う装置は、その人の歯並びの状態によってちがいます。

矯正診断の際に、主治医から、どのような目的でどんな装置を使うのかについては説明がされてもう少し詳しく知りたい方のために少し説明をしましょう。

顎の成長や位置をコントロールするための装置

成長のお子さんの治療で、顎の大きさや成長の方向に問題点が有る場合に多く用いられます。また、大人の方でも、咬む時の顎の位置がずれているような場合、同じような装置を用います。

口の外に装置がくるものがほとんどですが、口の中にいれて使うものもあります。取り外し式で、使用時間が決まっています。清掃や食事のさまたげにはなりにくく、めだたないように使えますが、中には使用時間が守れず、治療期間が長引いてしまう方もあります。

歯の位置をコントロールするための装置

個々の歯を動かすための装置ですから、口の中で使うものになります。多くの場合は固定式です。治療の効果は確実ですが、粘着性の有るものは食べられませんし、清掃を頻繁にかつ上手に行わないと虫歯や歯周病の原因になります。

どのような装置を使うかは、主治医が決めることになります。同じ効果の期待できる別の方法が有る場合も有りますので、装置が見えないようにしたいなどの希望が有る場合には、あらかじめ相談しておいた方がよいでしょう。

また、装置が上手に使いこなせない、効果が十分でないなどの場合には、途中で装置が変更になることもあります。

昔からある金属製ブラケット セラミックブラケット
目立ちません。林歯科ではこちらのブラケットを主に使用します。
リンガルブラケット 
内側から治療するのでほとんど
分かりません。
内側から見ると↑

2)装着後の痛みについて

装置をつけた後、痛みはあるのでしょうか?
装置をつけた後に、痛みがあるらしいということは、御存じかも知れません。
残念ながら、全く痛くないとは申し上げかねます。

歯が動き始める時の痛み

装置をつけて歯を動かしはじめると最初の数日は歯が浮くような痛みが続く可能性があります。あまり気にならなかったと言う方もありますが、ほとんどの人が痛みがあったとおっしゃいます。

普通は三日くらい、どんなに長くても一週間で痛みはおさまります。少し待っていてください。

どうしても我慢ができない方は、痛み止めのお薬を使うことになります。電話で主治医に相談してみましょう。

この痛みが有る間、固い物を食べるのは難しいでしょう。お豆腐、柔らかく煮た野菜、ひき肉を使った料理、茶わん蒸し、お粥や雑炊など、あまり咬まなくても食べられる食事を工夫してみて下さい。

一週間過ぎても痛みがおさまらない場合には、他に原因がないか、主治医に見てもらった方がいいかもしれません。

この、歯が動き始める時の痛みは、装置を取り替えた時、動かし方を変えた時にまた出てくるかも知れません。一度経験していると、次の時には最初ほど辛くはないようです。

装置が原因でおこる痛み

初めて矯正装置を使う時、特に小さなお子さんなどは気になって何回も触ってみたり、口の中で舌を使って動かしてみたりすることがあります。指定された以外の方法で使うと、口の中に傷を作ってしまうことがありますので、痛みがある時には傷がないかどうかを確認して下さい。

また、不用意に粘着性の強い食べ物(ガムやキャラメル)を食べたりして装置が変型することもあります。どうも形がおかしい、装置が舌にあたって痛いなどという場合は、主治医に連絡をとり、装置を見てもらって下さい。

ワイヤーによる傷

すべての歯に小さなブラケットまたはブリーズと呼ばれる装置をつけて歯を動かす治療法では、歯の移動に伴って、ワイヤーの長さが余ってくることがあります。

最初は痛くなかったのに、2、3日あるいは1週間程してから、頬の内側がちくちく痛い時は、ワイヤーの先が余ってきて頬にあたっている可能性があります。この場合は、ワイヤーの余った部分をカットしてもらえば良いので、すぐ見てもらいましょう。

3)装置の故障

装置が壊れたらどうしたらいいのでしょう?
装置の紛失*故障の際の対応についてご説明いたします。

1.装置の紛失

取り外し式の装置に限ったことですが、時折装置をなくす方があります。外出先での食事の際にはずして紙ナプキンなどで包んでおいた物をいつのまにか下げられ、廃棄されてしまったというケースをよくうかがいます。

取り外し式の装置を使う時には、短時間はずす時のために、小さな容れ物を用意するといいでしょう。矯正歯科でも、装置に合わせたケースを販売していますが、市販のタッパーのようなものでもかまいません。

万一紛失した場合は、すぐ矯正歯科に連絡し、指事をあおいで下さい。

2.装置の故障

思い掛けない強い力が加わって、装置が壊れたり、外れたりすることがあります。また、夜間使用する装置を、無意識に壊してしまうこともあります。

固定式の装置が壊れてしまうと、口の中に傷を作ったりしますので、すぐ歯科医院に連絡をとってください。自分で無理にはずそうとすると、直せなくなってしまうかもしれません。できるだけ触らないようにして、早く受診しましょう。

取り外し式の装置は、壊れてもはずしておけば傷の原因にはなりませんが、長く使わずにいると治療の予定が違ってしまいますから、できるだけ早く直してもらうようにしましょう。

4)装置が恥ずかしい時

装置が恥ずかしいのですが、子どもがからかわれないか心配です、というご質問にお答えしましょう。

・本人が気になる

装置を使いはじめる時、どなたも他の人に見られているようで気になることでしょう。もしかしたら、見られているかも知れません。ただ、歯並びの悪い口元を気にしながらこれからの人生を過ごすのと、数年間我慢して、その後の人生はきれいな歯並びで過ごすのと、どちらを望まれますか?

もし、どうしても、外から見える装置が気になるようなら、歯の裏側から行う治療法もありますから、主治医に相談なさってください。治療を開始してから治療法を変える場合は、別途の料金がかかるかもしれませんから、希望が有れば最初の相談の時点でお話になった方がよろしいかと思います。

これまで、私達の医院では、治療を開始したけれど装置が恥ずかしいのでやめられた方が、お二人あります。お一人は大人の方で、もうお一人は小学生でした。ご本人がどうしても装置に耐えられないという場合には治療を断念することになりますが、症例によっては今の年令で始められたほうがよろしいのにと思うこともあり、残念ではあります。

・周りにからかわれる

大人の方で、こういう経験をされる方は少ないでしょうが、小学生くらいでは良く有ることの様です。

ただ、こういう他人のことをからかいたいタイプの子というのは、いつどこにでもいて、いつも何かからかう種になることを探しているのです。矯正をしていなくても、たとえば道で転んだところを見られても、鼻の頭にニキビが出来ているのに気付かれても、きっとからかってくるでしょう。そういう人のことを気にして嫌な気分になることはないと思いませんか?

どうしてもからかわれることにお子さんが耐えられないようであれば、お家の方が、からかってくる子のお家の方に御相談された方がいいかもしれませんね。学校の先生に相談してみるのもよいかもしれません。
ただ、本人がからかわれても無視していれば、からかわれたことに何かリアクションを示すタイプの子の方へ、行ってしまうのではないかと思います。

矯正をすること自体は、恥ずかしいことではないのだと、分かってもらえたら、と思います。

5)装置装着後の清掃

「歯ブラシは難しくないのでしょうか?」
矯正中の歯ブラシの仕方についてご説明します。

・矯正中の歯ブラシ

残念なことに、矯正治療中に虫歯になる方や歯肉炎になるかたは、決して少なく有りません。特に、小学校高学年から中学生くらいの男の子で、「自分がやりたいわけではない、親がやれというからやっている」という感覚の子は、余り熱心に歯ブラシをしません。

もちろん歯科医院でも使用中の装置に合わせた清掃方法の指導が行われるはずですが、家庭でも、繰り返し歯ブラシの大切さについてお話していただきたいと思います。折角歯並びが治っても、装置をはずしたら歯がぼろぼろというのでは、がっかりです。

・取り外し式の装置

取り外し式の装置の場合、今までの歯ブラシと同じように、装置をはずしてきれいに磨き、装置の着脱時には装置をきれいに洗浄するだけです。装置は使用しない時間は清潔な容器に水を入れてその中にいれて保存しましょう。

・固定式の装置

問題なのは固定式の装置ですが、多くの装置が複雑な形をしていますので歯ブラシが大変難しくなります。器用な人は歯ブラシ一本でも清掃ができますが、大抵の人は、他の器具を併用されるようです。歯間ブラシや、矯正用の特殊な携帯の歯ブラシを使って、装置の隙間のでこぼこをきれいにしていきます。

装置のセット時、来院の都度に歯ブラシの状態のチェックや指導が行われると思いますが、家庭で上手に磨けない時には、衛生士さんに相談してみてください。

矯正治療を始める前に知っておきたいこと・確かめておく事は

さあ、二回目の矯正治療の予約の日がやってきました。
準備はできていますか??もし、まだの方はこちらへどうぞ

 1)診断の前のチェックポイント
 2)診断の内容:現在の状態
 3)診断の内容:治療開始の時期
 4)診断の内容:治療の方法
 5)診断の内容:治療の期間
 6)診断の内容:治療の費用

1)診断を受ける前のチェックポイント

二回目の矯正治療の日、前回の検査の結果を聞きに行きましょう。
予め、心配に思っていること、聞きたいことをメモしておきましょう
以下のようなポイントに整理しておくとよいでしょう

1.現在の状態

いま一番気になっているのはどんなことか?
それは治療しなければ治らないのかどうか?
治療について心配なことは何か?
痛みはないのか
生活に支障はないのか

2.治療開始の時期

成長期のお子さんの場合、治療開始の理想的な時期があります
今、治療を始めた方がよいのか、それとももう少し先の方がよいのか

3.治療の方法

どんな治療の方法があるのか
本人はどんな治療法を希望しているのか

4.治療の期間

期間はどのくらいと予想されるか
進学、就職の時期と重ならないか

5.治療の費用

費用はどのくらいか
料金の設定はどうなっているのか
支払いの方法はどのようになっているのか

万一転院しなければならない時の精算はどうなるのか

*お願い

診断の日は、治療についての重要な情報を聞く日にあたります。

未成年の患者さんの場合は必ず保護者が同行して下さい。
診断の後、家族で話し合って治療を受けるかどうかを決める場合は、できれば当日両親が付き添われた方がよろしいかと思います。

中には、後日もう一度御両親お二人で話を聞いてから決めたいとおっしゃる方もあります。

2)診断の内容:現在の状態についての説明

1.診断

まず、最初に、現在の状態についての説明を受けます。
その状態によって治療が必要かどうか、必要な場合どのような治療になるかが決まります。

現在、歯並びが悪くなっているのはどこか、どこに歯並びが悪くなる原因があったのかが、前回採ったレントゲン写真や歯の模型から明らかになります。

 例えば、同じような反対咬合(いわゆる受け口)であっても、
 ・下顎が大きい為におきている場合
 ・上顎が小さい為におきている場合
 のどちらも考えられます。

 また、上下の顎のバランスはとれているのに
 ・前歯の傾き方が原因で反対に咬んでいる
 ・歯の咬み方が原因で下顎が前の方に誘導されている
 などの原因で反対咬合に見えていることもあります。

原因がどこにあるかによって、治療の方針は変わってきます。

この現状に対する診断が、矯正治療の中で最も重要なことです。今日はここを聞きにきているのですから、真剣に聞いて下さい。おそらくこの部分が一番分かりにくく、また大切なことです。後で治療の経過で患者さん側から聞かれることは、実はこの時点で説明してあることがほとんどです。

けれども、多くの人にとって、矯正治療は初めての体験です。説明を受けていてもなんのことかよく分かっていないことが多いのです。分からないことがあったら、この時点でよく確かめておいて下さい。

2.治療方針

現在の歯並びの不調和の原因が分かれば、次に治療方針が立ちます。
診断に続けて、治療が必要と思われる方には、治療方針の説明が行われます。

治療開始の時期にはまだ早いケースでは、定期検診を受ける様に勧められるか、いつ頃から矯正治療を始めるとよいかという説明があると思います。かかりつけの歯科医院からの紹介の場合は、そちらで定期検診を受けて適切な時期に再来できるように、説明の手紙を預かることもあります。

具体的な治療の方法については、項を改めて御説明しましょう。

3)治療の開始の時期

大人の方の場合はいつ始めても同じですが成長期の場合はよりよい時期にスタートしたいものです。
この項は成長期のお子さんに限ってお話して行きます。

成長期のお子さんは一人ひとり歯の生え揃い方も顎の成長の仕方も違っています。そして、その人の歯並びの不具合の状態も違っています。そこで、治療の開始の時期もそれぞれ違ってきます。

御相談いただいた時期がちょうどよい時期であれば、すぐスタートする事をお勧めしますし、残念ながらもう少し早くスタートしていた方が良かったと言う場合もできるだけ早くスタートするようにお話します。

大人になってからでも、もちろん矯正治療は受けられますが、その人の歯並びによっては、効率のいい~つまり短期間で・少ない苦痛で・より良い仕上がりが期待できる~時期があるのも事実だと思います。

中には、お家の方が早い時期から気になさっていて、治療を開始するには少々早い時分に御相談をいただく場合も有ります。この場合は、できるだけよい時期にスタートできるように、定期的に歯並びの状態のチェックを受けていただきます。

かかりつけの歯科医院が有る場合はそちらで受けられてもよろしいですし、相談を受けた矯正歯科で受けられてもよろしいかと思います。

また、相談の時点ではまだ矯正が必要ではないかもしれない、なんとも言えないというケースもあります。そのような場合には、相談の時点で検査を行わずに定期検診で経過観察を行う場合も有りますし、何か原因になることがないかどうか検査を受けていただく場合も有ります。

このような方も、虫歯のチェックを兼ねて定期検診を受けることをお勧めします。

特に気をつけていただきたいのは、若干の歯並びのでこぼこがあるけれど今始めるには少し早い、若しくは成長によって解消する可能性があるので観察を続ける、と言った場合です。このような歯並びのお子さんは、歯ブラシをしづらいために虫歯になりやすい傾向があります。

定期的に検査を受けると同時に、家庭でも、歯ブラシの他にデンタルフロスを併用するとか、時々お家の人がチェックするとか、虫歯を予防する体制をとってください。矯正治療を開始する時期には虫歯だらけになっていた、等という事のないように、用心して下さい。

4)治療の方針

どんな方法で治療を行うか
治療の方法治療の方針と具体的な治療の方法について確かめます。
診断の項でお話したように、その人の歯並びが悪くなった原因が分かれば、治療の方針が決まります。どのようなアプローチの仕方になるかの説明を受けます。

・治療の方法

治療方針に沿って、具体的な治療の方法が提案されます。どんな装置を使って、どんな順序で治療を行って行くかのアウトラインが示されます。治療の装置について希望が有る場合には、よく相談して方法をきめて下さい。

例えば、できるだけ目立たないように歯の裏側から治したいとか、虫歯が心配なので取り外しのできる装置を使いたい、といった事です。

矯正医の提案する治療法法は、できるだけ短期間で、本人の苦痛の少ない方法になっているはずですが、患者さんの側に希望があれば別の選択肢もあるはずです。その場合、最初の提案と比べて、どのようなメリット・デメリットがあるのかをよく説明してもらいましょう。

治療の方法によっては、目立たないけれども治療期間が長くなる傾向があるとか、治療費が高めに設定されているということもあります。
メリット・デメリットをよく考えあわせた上で、治療の方法をきめて下さい

5)治療の期間について

治療の期間は歯並びの状態・治療の方法などによって決まります
次に、治療の期間についてですが、それぞれの方の歯並び、治療方針、治療方法などによって決まってきます。

必ずしも、予想通りの期間で終わるとは限りませんが、開始の時点でおよその治療期間の見当はつきます。

中には、成長期の終わるまで定期的なチェックの必要な方や、非常に長い期間がかかる可能性の有る難しいケースの方もあります。その人のライフスタイルによってはその時期に治療を開始すると、治療を最後まで継続するのが難しいこともあります。

治療の期間の予測がついたら、最後まで通うことが可能かどうか、よく検討して下さい。

転勤や進学などで転居する可能性が高い場合は、転医の際の紹介や料金の精算方法などの対応についても確かめておいて下さい。

最後に治療の費用について
矯正治療の費用は原則として自己負担です。
保険診療の対象とはなりません

6)治療の費用

・料金体系

各医院によって、料金の体系は異なります。

 例えば、

  1.治療に必要なすべての費用を最初に計算して提示し、
   それ以外に費用のかからないシステム

  2.最初に検査・診断・装置などにかかる料金が設定され、
   それ以外に来院の際に調整料がかかるシステム

  3.検査、診断、装置など総ての料金を、
   その都度精算していくシステム

 などです。

1.のようなシステムでは、装置を取り替えたり、壊れた時に修理したりしても、別途料金がかかることはありませんが、転医する際は、精算が煩雑になる可能性があります。

逆に、3.のようなシステムでは、転医の際には精算の必要がありませんが、様々な装置を使う場合はその都度料金がかかることになります。最初に使った装置で十分な効果が得られない時、別の治療法方に変えてもらいたくなった時などは、料金の確認が必要になります。

どのような料金体系になっているのか、よく説明してもらいましょう。

・支払いの方法

大きな金額の支払いが生じますので、どのような方法で支払うのかも確認して下さい。

一括払い以外は、ローンを組んでもらう、というところもありますし、窓口で分割払いを受けているところもあります。
また、大きな金額については銀行振り込みでという医院もあります。

前段の3.のような、かかった金額をその都度精算する方式であれば、おそらく窓口で現金またはクレジットカードで支払いをするのが普通でしょう。

治療費用や支払い方法について、歯科医師には聞きにくい場合は、受付の人にもう一度説明してもらいましょう。
特に具体的な支払い方法等は、受付の人に聞いた方が分かりやすいかもしれません。
以上のような点をよく確かめた上で、矯正治療を受けるかどうかを決めて下さい。

他の矯正歯科の診断や治療方針、料金体系について知りたい場合は、また、相談から受けることになります。

矯正相談の具体例は?

矯正相談から治療開始までの流れ

歯並びが気になる方の、相談から治療開始までの流れを紹介します。

このようなプロセスでレントゲン写真を元に骨格、歯の傾き、位置などの分析を行い、診断をします。

1.矯正相談

歯並びが気になるときは、矯正相談を受けてください。

普通の虫歯治療と同じように電話予約をお願いします。
所要時間は、30分程度です。

まず、相談の前に、歯並びの状態の写真を撮ります。

普段見えない角度からの歯並びの状態を見てもらいながら説明します。

今、気になるところをうかがい、
・どんな治療が必要か
・林歯科の矯正治療の方法
を簡単にご説明します。

詳しい検査を希望される場合は、
当日、または次回予約の上、検査を行います。

2.矯正の検査

検査の所用時間は30〜45分程度です。

検査の内容は、

・写真撮影 前述の口腔内写真+顔の写真+全身の写真

・歯並びの型取り→模型用

・レントゲン写真 2枚

これを資料にして診断をします。

3.矯正診断

・分析表

検査結果を資料として、次のような骨格の分析を行います。
骨格、歯の生え方、大きさなどを参考に治療計画をご説明します。

・治療計画書

  必要な治療方法
  開始時期と概ねの期間
  治療費用
を書いた、下記のような治療計画書を差し上げます。

治療計画書に同意のサインを頂いてから、治療開始になります。

診断当日に、矯正装置の準備に入ることも可能です。

  1. よくある質問